広島カップ

チャンスの広島カップのレビュー・感想・評価

チャンス(1979年製作の映画)
4.2
不思議な主人公の登場です。
知的障害のある中年の庭師(ピーター・セラーズ)。
ある金持ちの家に使用人として仕えていましたが、家から外に出ることを許されず家で庭仕事とテレビを観ることを何よりも楽しみにしていました。
主人が死んだことにより家から追放され人生ではじめて世間に出ます。
右も左も上も下もわからない彼でしたが運の良いことに大富豪の家に住むことになり、トントン拍子にアメリカ大統領の候補にまで噂されるようになっていきます。

原題が"Being There"(そこに居るだけ)。
主人公はただそこに彼らしく居るだけなのですが、それが全て良い方向にどんどん廻っていきます。
読み書きができず知識の乏しい彼ですが、駆け引きの無い純朴さが周りの者達を惹き付けて行きます。

ピンク・パンサーシリーズで見せたピーター・セラーズのナンセンスコメディとは180°違う静かな感動を呼ぶ不思議な喜劇。
ラストは、この人物は一体!?と思うこと請け合いです。

この作品が遺作となったピーター。
まだまだ可能性を感じる作品でつくづく早過ぎると思います。
主人公が車椅子から立ち上がるシーンが一瞬ありますが、反射的にペンタゴンの作戦室がフラッシュバックして来てしまいます。笑
広島カップ

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