Fitzcarraldo

宇宙戦争のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

宇宙戦争(1953年製作の映画)
1.4
第26回アカデミー賞(1954)特殊効果賞を受賞したByron Haskin監督作。

SFの父と呼ばれたH. G. Wellsが1898年に発表した"The War of the Worlds"を原作に、Barré Lyndonが脚色。


隕石のようなものががカリフォルニアに…熱をもっているので物体が冷めるまで待つことに…

○飲み屋
みんなでスクエア・ダンスを踊っていると停電になる。電気だけでなく、みんなの腕時計が一斉に止まる。

「第二のクラーク・ゲーブル」の異名をもつGene Barry演じるフォレスター博士が、ヘアピンが腕時計にひっつくのを見せ、磁石になってるのが原因と…それで電話も通じないと…

ちょっと何言ってるかワカラナイ。


「時計だけか?」

博士
「コンパスを」


「北を指さない」

博士
「隕石を指してるんだ」

どいうこと?なんでそうなるの?


○店の外
サイレンを鳴らしたパトカーが来る。

機械式のものは全部ダメかと思えば、車は普通に走れるという…そのルールがよく分からないのだけど…


○墜落現場
パトカーで博士らは現場に到着する。

博士
「電柱が倒れてる。停電するわけだ」

ん?電柱が倒れたから停電したという解釈でええの?じゃ磁石化したのは何なん?そのせいで電話も使えんって言ってたけど…


この博士は、次から次へと起こること全てに的確に淀みなく神様のように答える。疑問形に一切ならずに的確に…。いったい何者?見てる側からすると、その淀みのなさにアナタが火星人なのでは?と疑いたくもなる。われ先に地球に侵入して導いてるようにも見える。


世界中に同様なモノが落下しているのは…"Arrival"(2016)に似てる。全世界で立ち向かう感じも…



亀の頭のような先端からビームで攻撃してくる。これを避けるのに道路脇の窪みに伏せても意味ないように感じるが…それで普通に怪我なしで助かるし…

○野営地
その後の将軍の談
「サン・ジュリアン市は怪光線で壊滅し姿を消した…何も残らんらしい」

博士
「熱線のせいだ」

怪光線の攻撃をかわすのに道路の向こう側で伏せるという、なんともバランスが悪くて気持ち悪い。他の天体から地球に来る技術力があり、さらに怪光線まで出せるというのに、子どもの隠れんぼレベルという、いかにも程度の低い隠れかたに呆れてしまう。

このアンバランスさ…
線引きが曖昧というか…
無茶苦茶というか…
この映画の中での世界観くらいはせめて統一してくれないと…

将軍
「今夜撮った航空写真によれば、ここの宇宙船はリーダーで仲間の降下を助けるようだ。リーダーに続いて2台が降り、3台1組で行動するらしい」

なんで、写真からそんなことが判明するの?なぜリーダーだと思うの?まだ亀の頭が動いただけの映像しか見せてもらってないのに、なぜこの段階で3台1組と言えるの?リーダーに続いて2台が降りる?なんで?

これらは台詞で説明するのではなく、そうなのかも?と思わせる映像で見せないと…台詞で続けざまに説明されると、引率の先生が「これはね、こうでね…」と、下手したらこちらがまだ見る前から、こちらが疑問に感じる前から、先に全部言われてしまうように感じて白けてしまう。

これは、いただけない。

そして…
将軍
「動くのは夜明けだ…」
と、自然に腕時計を見てフェードアウト…

え?腕時計全部止まったんじゃなかったでしたっけ?そこはいいんですか?腕時計を見たのなら、「止まってるから時間が分からねぇや!」とかなんとか台詞は必要なのでは?まあそんなチープな台詞はダサいから腕時計を見た時点でカットだよね…撮り直しでしょ?!もしくは、腕時計を外させるかのどちらかでしょ…

博士も磁石の件のところで外してたし…

というより、いつの間にか直ってんの?
説明もなしに時計が直ってるなら、そもそも時計が磁石に云々というところは要らないじゃん。

よく見ると、博士もすでに腕時計はめている。
完全になかったことになっている。
こういうディテールは徹底的に詰めて、ひとつひとつ積み重ねてプラスにしていかないといけないのに、ただでさえ嘘んこの話が、プラスに向かうどころか、どんどんマイナスな滑稽話になってしまう。

またこの言葉を引用するが…
キューブリック
「映像の可能性を広げるものには常に興味があるが、リアルの追求だけが目的じゃない。すべての作品が直面するのは、見る側に映像は本物だと思わせることだ。時代設定が現代でない場合は、特にリアルな雰囲気を作るのが出発点だ」

これですよ。



○野営地外
神父とシルビア。

神父
「彼らも生き物だ」

シルビア
「でも人類じゃないし、もっと進んでるそうよ」

神父
「人類より進化してるなら、より神に近いはずだ」

ちょっと何言ってるかワカラナイ…



紫色の夜明けの空に、宇宙船の一部が蛍光緑に光って、エヴァ初号機カラーに見える。ネタ元はここか?しかも軍の砲撃に、博士曰く「電磁気のシェルターが完全に保護してるんだ」と言っているが…これはもう完全にA.T.フィールド全開に見える。

怪光線で戦車は跡形もなく一瞬で消え去るのに、なぜか野営地は軽い火事で済む…なんで?消え去りなさいよ!この辺のルーズさはなんなの?



核攻撃も無傷に終わり、圧倒的な無力さと敗北感があるなかで、教会で神に縋る様も滑稽。
人類より神に近い存在というセリフを神父に言わせといて、なぜその神に近い火星人を崇めないの?無茶苦茶な論法じゃないか?


○ロス市中
いきなり宇宙船の光が消え墜落する。
扉が半開きになり、火星人の足だけが見える。その足も動かなくなる…

博士
「軌跡が起きた…」

ウソでしょ?!なにそのオチ…信じられない。

ナレーション
「大気中のバクテリアに火星人は抵抗力がなかった」

えっ?そのバクテリアに自分たちは対応できないっていうことを調べる技術はなかったってこと?最強のA.T.フィールド持ってるのに?火星からバンバン地球に来れる技術力があるのに?
じゃあ地球に来てから呼吸はどうしてたの?ずっと息止めてたの?それとも宇宙船の中にはマスクみたいなものつけてたの?じゃ、そのマスクをなぜ急に外したのよ…ずっとつけときゃいいじゃん。

一度、農家に逃げ込んだ時に、襲われたのは何だったの?どういう説明すんのよ?地上に降りて来てたけど…

ナレーション
「地球上で呼吸した途端に病菌におかされ始めた。終末は素早く訪れ各地でマシーンが墜落した」

呼吸はいつしたの?着いてすぐ?そこから徐々に病気になって、このタイミングでみんな一斉に「せーの」でまさに息を合わせるように死んだの?

え?リーダーはよ?リーダーが仲間の降下を助けてたんじゃないの?その時は潜伏期間で無症状だったから気づけなかったってこと?

いやぁ…これは無理があるだろ?!

ナレーション
「人類の知恵や努力を超えた火星人を倒したもの…それは神に与えられた最小のものであった」

おあとがよろしいようで…

いやいや!終われない終われない!これじゃさすがに終われないだろ!なにひとつオチてねぇし…
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