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メアリー&マックスのRenのレビュー・感想・評価

メアリー&マックス(2009年製作の映画)
4.0
ユーモアとリアルの塩梅が絶妙。人間が人間に見えないティム・バートン風アプローチのアニメーションで、綺麗事でない人生の躁も鬱も描き出すが、それでもやっぱり愛の話である。

オーストラリアに住むメアリーは友達がおらず母親は酒浸り。ひょんなことから彼女は、ニューヨークに住む孤独なアスペルガー症候群の男性マックスと文通を始める。
『火垂るの墓』『トゥルーノース』『FLEE フリー』のように、実写と離れた表現方法でリアルな物語を語る。全編ナレーションベースなのもドキュメンタリーっぽい。

「親族や境遇は選べないが、友達は選べる」
「人間は不完全だ」

キモカワなキャラクター達の話だが、全編に死がとても多く印象的に描写される。人は死ぬ。人は壊れる。人はいつかいなくなる。人はいつか会えなくなる。

人との交流も愛も知らず生きる2人は、基本的に他人に疑心暗鬼だ。そんな中で唯一と言っていい交流を持った彼らは、コミュニケーションという拠り所を見つけていく。
他人とは恐怖であり世界とは生き辛く人生は苦しいが、それでも人は誰かといたいのだ、というあまりに真っ当な「自分と他者」の映画だった。分からないところが無い。素晴らしい。

ラスト、某人の視線の先にあるものの正体を知った瞬間はやはり感動する。

主演声優がトニ・コレットとフィリップ・シーモア・ホフマンでとても贅沢。小難しく考えたところで良さはあまり変わらないタイプの映画なので、まず観たままに感動(泣くという意味ではない)するのが吉だと思う。誰にでもおすすめできる。
以上、簡易レビュー。
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