Daisuke

KIDS/キッズのDaisukeのレビュー・感想・評価

KIDS/キッズ(1995年製作の映画)
5.0
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遠い遠い昔の話。

高校生の頃。
どのスポーツも今ひとつだった自分は、友人に勧められた「スケートボード」がパズルの最後のピースのようにピタリと「ハマった」感覚があった。

毎日毎日。
毎日毎日。
学校をサボってひたすらスケートをしていた頃。
スケボーが自分にとっては身体の一部のようになって、階段やら、ベンチやら、目に映るありとあらゆるものが「テーマパーク」へと変わって見えた。

階段も3段から、5段、8段、10段へとどんどんステップアップし、大変なケガをした時もあった。

だけど、あんなにも、
頭の先からつま先まで痺れるようにピリピリとした毎日はなかった。
なんとも言えない。
満たされる感じ。
気がつくと、

「死ぬかもしれない」

と仲間に言われるほど、危ない行為を繰り返していた。
本当に死がすぐ目の前までやってきていた。

そんな時に友人に映画を借りた。
「KIDS」
なんだろう。
あっちの連中はこんなカッコいい生活してるのか?なんて、エイズの事よりもそんな変な嫉妬の方が上回っていた。
悔しいけれど、チノパンをくるっと巻いて足首出す履き方はここから学んだ。

今は亡きジャスティン・ピアースたちのスケートとダラリとした毎日。
これを皆はどう思うのだろう。
怖い?カッコ悪い?ダサイ?

監督のラリー・クラークがどこかのインタビューで言っていた。

「見る人たちが到底触れることもできない世界を覗き見ているような感覚を作りたかったんだ」

自分はいつまでも永遠に見てられる。

なぜなら、自分の人生の中で最高の時だったからだ。

それは果てしなく美しい。
果てしなく。

ただ、それは、



遠い遠い昔の、話。
Daisuke

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