Daisuke

SNS-少女たちの10日間-のDaisukeのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
3.2
[炙り出したい闇]

※あくまで自分の経験上からの推測で書いてる失礼極まりない部分がありますが、若い方々には重要な事かと思いますので書かせてください


12歳という少女に対し、自分の性器を丸出しにして画面の奥から襲いかかる獣たち。
確かにその光景はとても醜く、気持ち悪いものではあったが、、、
正直言えばその気持ち悪さでさえ「想定の範囲内」でしかなく、児童ポルノとSNSを使った題材としては自分は「ある人物」をもっと深く掘ってほしかったなあ、という感想であった。

おそらくほとんどの方は今作における
「未成年の少女たちに対し、SNSを使用して性的な関係を持とうとする男性」という事に対し、真に恐ろしかったのは今作のラストで衝突する男の「職業」では無いだろうか。
確かにお子さんを持つ方々は心が凍る思いになる恐怖かと思う。

しかし、自分は彼と同様、いやそれ以上にある人物から目が離せなかった。



それは、今作では「性的異常者ではない」と描かれた、優しく会話をしてくれたあの青年である。



私は20代の頃
東京の中野という飲み屋が多く集まる場所で、連日のように飲み歩く「飲み仲間」ができた。そこで知り合ったのは驚くほどにモテる男たちだ。
女性たちが彼らと話をしていると、恐ろしいほどの吸引力で目がトロンとなって行く様を幾度となく目にしていた。

確かに彼らは「イケメン」の部類ではあり、初めはその顔で女性と仲良くなっているように見えた。
ただ、実はそれ以上に巧みな話術で女性の心理をコントロールしている事を、彼ら自身から聞いた時に、凍りつくような恐怖を感じた事を覚えている。

彼らが行った序盤の会話のステップはこうだ


1、自分は「頭の良い人」が好きだという

2、世の中にいる悪い男たちの話に共感する

3、会話ができて嬉しかった、と、優先してるのはあくまで「会話」の方だと告げる

このステップは多少形を変えつつ基本的に毎回行われる。この行程により、女性たちの自尊心を高めさせ「安心」と言う名の麻酔をかけていく

彼らはどうしたら女性が喜び、警戒心を解いてくれるかを熟知していた。そして何人もの女性たちがその毒牙にかかり、苦しんだ事を私は知っている。
その彼は後に「自分はセックス依存症なんだ、どんな年齢でもいい、ただただヤリタいだけなんだ」と言っていた。



この作品では、短絡的で「頭の悪い」誰でもわかるような性的異常者しか描かれていないが、真に恐ろしいのは、性的嗜好を秘めつつも「優しい仮面」を被って精神をコントロールしてくる「頭の良い」男達だ。

この作品に出ていたあの優しい彼の真意はどうだったのかはわからない。
ただ、あまりに自分が知ってる恐ろしい男たちの会話術に似ていたため、吐きそうな恐怖が現れた。

彼は一体どういう人間だったのか?
どうしても疑問が残るのは、

『彼は何故「12歳」というアカウントに声をかけてきたのか?』という事。


本当に私が見たいのはそこ

SNSには映らない

ドキュメンタリーにも映らない

偽りの中から炙り出される闇
Daisuke

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