小川監督、伊藤さん、佐々木さん、米倉さん、井筒さんの俳優陣のトークイベント付き上映にて鑑賞。

おそらく鑑賞後にモヤモヤが残ります。考えさせる映画が好きな方にはオススメです。

キムソジュン役の伊藤さんがほぼセリフがなく、寡黙で狂気さもありつつ、すごく引き込まれる演技をされておりました。
ずっとこの後どういう展開になるのかワクワクして観れました。
300万円という低予算の割にはクオリティも高かったかと思います。

ただ、
観終わって、これどういう話？っていうのが正直な感想。
ラストのシーンで何もかもがわからなくなった。
キムソジュン？趙さん？一家殺人事件？

アフタートークにて、監督があえて考えさせるような作りにしていて、何回も観ることで理解や解釈が変わってくるとおっしゃっていた。

初日舞台あいさつ付きの回を鑑賞。
正直、年齢とともに暴力シーンは苦手で出来れば見たくない。そして、これはストーリー上それが多い。
しかし、それを上回る何かがあった。
舞台あいさつで小川監督が
「考えてもらう作品にしたかった」
と。
そうなんだよ。最近大ヒットする映画は、全部分かるようにできちゃっててつまんないのよ。考えさせてほしいのに。
舞台あいさつ聞いた分、加点はついてる。

大晦日に一家三人が殺される事件が起こり、在日朝鮮人のフリーライター趙が真相を調査する。
少しづつ手がかりを追ううちに、キムソジュンという男の名が引っかかって来る。
とりあえず興味を引く要素はあるが、最後まで見ても話がさっぱり分からない。
趙はサイコメトリーの能力があるみたいで、取材に訪れた場所の過去のビジョンを見るのだが、それぞれのビジョンの時系列がバラバラな上に、韓国語の台詞に字幕が入らないので、キャラクター同士の関係や、なにが起こっているのか非常に分かりにくいのだ。
おそらく狙って混乱させる作りにしていると思うのだが、結果的に何をやりたい映画なのか、何を描きたい作品なのか全く伝わってこない。
ある程度観客に委ねて考えてもらうという方法論だろうが、それは考えれば最終的に納得できるカタチが見えることが前提。
特にまずいのが、最後の主人公自身に関する最後のネタバラシの部分。
アレを額面通りに受け取れば、それまでの世界観全崩壊しちゃうんじゃないの。
在日朝鮮人設定はなんだったのよ？ってことにならないか。
そもそも、主人公の見たビジョンだけで、一体どんな記事が書けたと言うのか。
他にもひたすらヒントだけくれる便利な先輩(？)とか、まるでマンガみたいなベタなルックのヤクザとか、リアリティラインにも問題が。
全体に、断片だけしか見せてくれない、未完成のパズルという感じ。