滝和也

実相寺昭雄監督作品 ウルトラマンの滝和也のレビュー・感想・評価

3.6
第二次ウルトラブーム
世代にとって、この作品
を劇場で見れたことは
幸福な体験である。

第二次ウルトラブームは帰ってきたウルトラマンに始まるエース・タロウ・レオまでの作品群であり、ウルトラマン・ウルトラセブンは含まれない。ウルトラセブンの後、大人気だったが金食い虫だった特撮は一旦終了する。その後復活するのだが、マンとセブンは再放送のおかげで、放映当時まだ生まれていなかった第二次世代の私達、当時小学生のハートをがっちりキャッチした!やはりこの2本は違う。シンプルな中にも作家性があり、怪獣・星人のデザインも印象深い。そのなかでも、子供心に突き刺さる話は、ある1人の監督の手によるものだ。

実相寺昭雄。

最初に出会った監督としての作家性。ある意味この話は何だ?と私達を不思議にさせる、そのストーリー、演出。映画館で当時見た時、この一群の作品が同じ監督で撮られたものと気付けた我々世代は幸福だった。

登場怪獣はガバドン、テレスドン、ジャミラ、スカイドン、シーボーズ。そのどれもが珠玉のシナリオであり、異端である。何よりもスペシウム光線で倒されることがない。王道を行く、ある意味予定調和であるルーティンはない。ガバドンに至ってはウルトラマンが子供達に罵声を浴びる。テレスドンのお離しは高度なスパイ映画かつ、視覚効果に特徴がある。またウルトラマンが第三者としての存在を問われるお話の走り。スカイドンも地球を狙っているわけでもない上に、徹底的なコメディ。シーボーズも既に倒すと言う概念すらない。そして名作ジャミラ。大国のエゴにより、惑星に置き去りにされた宇宙飛行士がジャミラとなって、地球に復讐する。国際会議に掲揚された旗が泥まみれになる戦闘シーンはまさに東西冷戦下の時代への皮肉であり、強烈な印象を残している。

その強烈な個性により、今尚輝きを放つ作品群で構成されたオムニバス。夏休みに入った子供さんと一緒に是非ご覧いただきたい。ウルトラマンの優しさに触れてほしい(^^)
滝和也

滝和也