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民族の祭典のTSのレビュー・感想・評価

民族の祭典(1938年製作の映画)
3.2
【ベルリンオリンピックの栄光】72点
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監督:レニー・リーフェンシュタール
製作国:ドイツ
ジャンル:ドキュメンタリー・スポーツ
収録時間:111分
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1936年のベルリンオリンピックを記録したドキュメンタリー映画であるのですが、ナチスのプロパガンダ映画としても利用されたため評価の難しい作品。しかし、撮り方やその存在意義は圧倒的であり、政治事情を抜きにしたら歴史に残る作品と言えるのではないでしょうか。

最初は、全裸のアスリートたちがさまざまな競技に参加するデモ映像が流れます。そのあとはおおよそ記録映画であり、開会式から各種目を淡々と、しかし丁寧に記録していってます。中には日本人選手も登場しており、三段跳びで金メダルを受賞した田島直人、同じくフルマラソンで金メダルを受賞した孫基禎がクローズアップされています。そしてなによりもジェシー・オーエンスの輝きが凄まじかったといえます。

また、今作で気になるのがヒトラーです。彼は当初オリンピック開催にはノリ気ではなかったのですが、国家のアピールとしてはこれ以上のものはないと考え開催を決意します。敬礼をしつつも笑顔で拍手する彼の顔は表の顔であり、この裏にどれほどの陰謀や計略を備えていたのかと思うとゾッとするところです。為政者の表の顔があれならば、裏の顔は。。今の為政者にも繋がる部分があります。まさかこの数年後に人類史上最悪の戦争が起きるとは誰も知らずに。。

今ではオリンピックの映像を記録するのは当たり前でしょうし、一般人でもそれは容易です。ただし、この時代では記録するのさえ大掛かりな仕事であったため、このスケールで映像を残すのは至難の技だったと思います。今作の監督をしたレニー・リーフェンシュタールはナチスに加担したということで監督生命を危ぶまれますが、作品自体は優れたものであり、彼女自身を責めるにはあまりにも不条理であると思われます。
今作は2部作であり、後半の『美の祭典』はまたいつか見てみたいと思います。
TS

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