鋼鉄隊長

ULTRAMANの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

ULTRAMAN(2004年製作の映画)
4.5
TSUTAYAで借りたDVDで鑑賞。

【あらすじ】
ある日、航空自衛隊からの除隊を控えた戦闘機乗り真木舜一は、緊急発進の際に謎の赤い発行体に衝突する…。

 ここ最近、何かと嬉しいニュースが多い「ウルトラマン」。本来ならばタイムリーなネタでもある『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(1974)でもレビューしたいところだが、今回はコチラ。これからも世界に羽ばたくヒーローとなってもらえることを願って、円谷プロ最大の意欲作を観ることにする。
 この作品は「THE 平成特撮」と言う印象が強い。特撮シーンの全てに新しい風が吹いている。戦いのメインとなるのは、ほとんどが屋内。あまりにも自然すぎて気付かなかったが、ドラマパートでの等身大の風景は戦闘が始まると同時に1/5サイズのセットに切り替わっている。表現方法の難しさから中々観られ無かった「10m級のウルトラマンと怪獣の戦い」がここまで完璧に描けるとは。これだけでも特撮技術の素晴らしさがわかる。そしてさらにCGの質も良い。ウルトラマン・ザ・ネクスト(ジュネッス)が攻撃をかわしながら東京都庁舎を旋回する様子。高度3万フィートで行われる空中戦。どのシーンをとっても、今のハリウッドに引けを取らない優れた映像である。この特撮を観れば、否が応でもワクワクしてしまう。若干大人向きだが、子供でも楽しめる明るく前向きな物語も良い。
 しかし残念ながら当時の評価は今一つ。既に撮影が開始されていた続編『ULTRAMAN2 requiem』も中止となり、「Nプロジェクト」は立ち消えとなってしまった。Nプロ失敗の原因は色々言われているが、個人的には「怪獣の役割」にあったと思う。このシリーズでの怪獣(スペースビースト)は「人類の敵」でしかなかった。見た目はグロテスク、性格も狡猾で残忍。化け物と呼ぶのが相応しい邪悪な存在ばかりだった。これが作品を単純な勧善懲悪にしてしまい、結果としてウルトラマンの奥深さを失ったのだと思う。本来ウルトラマンの怪獣たちは「人類の隣人」であった。時と場合によって敵にも味方にもなる。ヒーローで無く怪獣が物語の中心であった話も多い。
 最近のウルトラシリーズも『ウルトラマンⅩ』以降は悪い怪獣ばかり。だんだんと個性が薄れ、同じ怪獣を使い回しても成り立つ話が増えてきた。あぁ、心配だなぁ。もう誰も怪獣には興味を持ってくれないのかなぁ。こんな不安が募る中届いた吉報、海外利用権勝訴と新作ウルトラマンがこれからのウルトラシリーズをより良くしてくれることを心から願っている。
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