Amazon Primeビデオで独占配信されている、カーアクション映画です。現時点（2025.09.21時点）でレビュー数が40未満と、世間的にはマイナーな部類に入ると思います。さくっと観られるわりには及第点くらいの内容だったので、これからレビュー数が増えることを期待したいです。

カージャッカーズという名の通り、ハイジャックならぬ車（富裕層のお金を強奪するのが目的）を襲う集団が物語の主で、それを止めようとする殺し屋との攻防を描いています。

正直なところ、本作の終わり方は、おそらく多くの方がハッピーエンドではないと感じると思います。現実的な観点だと正しいのですが、映画なら、と考えた場合、評価は大きく分かれるような結末です。詳細は観てのお楽しみですが、逆にご都合主義でないのは良かったです。

パッケージのイメージ通り、カーアクション（どちらかといえばカーチェイス）シーンはありますが、それがメインではなく、犯罪者側（主人公側）の人間関係などのシーンが多いです。同じフランス産で似たような雰囲気の映画「Taxiシリーズ」と比較して、コメディ色などは皆無、シリアスな感じの作風です。（どちらかといえばベイビードライバーから音楽を取ったような感じです）

それ以外だとそこまで特色のあるようなものはありませんが、ここは可もなく不可もなし、ということで、大きくは外れていないともいえます。強いて言うなら、女性がドライバー役で、見事な腕前を（作品上では）見せてくれるので、そこは見所であるのと、一つツッコミどころのあるシーンがあります。

それは何かというと、カージャックする際、高速道路上で富裕層の車を停止させるのですが、そこから銃で脅しつつ金品を強奪するという流れの中、多数の目撃者がいるのに（高速道路なので、当然車が多数走行している状況にもかかわらず）、通報などされない犯罪者にイージーな環境になっている点です。

ここはぜひその目で観ていただきたいですが、ツッコミどころとしては十分で、それ以外は目立つ（気になる）シーンはなく、それ故に、変に粗として目立ってしまっています。

ちなみに、Taxiダイヤモンド・ミッションの主役の俳優（フランク・ガスタンビドゥ）が殺し屋役で出演しており、何気に映画Taxiとの多少のつながりがありました。（途中でも書きましたが、Taxiに似ているわけではないです）

色々書きましたが、そこまでの特徴はないため、気が向いたときに観るくらいがちょうど良いです。（なお、カーアクションシーンはCGなどは使っていないのである程度の迫力があり、良かったポイントとしてあげておきます）

大友克洋、ナ・ホンジンの名前があった。

【アクションシークエンス】
一瞬たりとも無駄がないテンポが魅力の作品だ。

監督は各カットを明確な意図で切り取り、
観客に伝えたい情報を瞬時に届ける。

具体的に挙げると、

カーチェイスのシークエンスでは、
車両の挙動、ドライバーの表情が、
短いカットで完璧に融合、

カメラは被写体を執拗に追いかけ、
観客の視点をハンドルの振動やタイヤの軋みにまで同期させる。

この緻密さは、撮影現場での準備の賜物だ。

監督とスタッフは、どのカットで何を伝え、
どの瞬間を切り取るかを事前に徹底的に共有している。

長々と回して編集で決める、
では不可能なカット割りだ。

美術やプロップは、
壊れる車体や飛び散るガラス片に至るまで計算、
何度も別撮り、後処理もしているだろう。

キャストも、スタントを含めた動きで物語を体現し、
言葉以上にキャラクターの焦燥や覚悟を語る。

準備の積み重ねが、編集で冗長な部分を一切排除した、
タイトで説得力のあるアクションシーンを生み出している、
現場と編集の完璧な調和だ。

【ドラマシークエンス】
一方、
アクションの喧騒から一転、
繊細な人間ドラマを展開する。

カメラの動きはゆっくりと、
しかし確信に満ちて空間を切り取る。

登場人物たちが言葉を交わす場面では、
キャストの眼差しが物語の重みを担う。

キャッチライトは、
瞳に微かな希望や葛藤を映し込み、
観客に感情の機微を伝える。
（現場照明と後処理の両方が高技術）

こうした演出は、単なる「空間」を超え、
キャラクターの内面を雄弁に語る瞬間だ。

ドローンクルーの撮影技術というかセンスも抜群だ、
海の沖から浜へ向かうカットは、
波の動きと沈む夕陽を捉え、
まるでロシアの風景画（徹底した写実）のような荘厳な美しさを見せる。

光源としての夕陽は、希望と終焉の両方を暗示し（おおげさか？）、
映画全体に詩的な余韻を与える。

こうしたビジュアルの選択は、
監督の美意識と物語への深い理解を示している。

【遊び心とオマージュ】

細部に散りばめられた遊び心も見逃せない。
タブレットのホテルの予約表に、
「Katsuhiro Otomo」や「Na Hong Jin」
の名前がさりげなく登場する。

「AKIRA」の繊細さと大胆さを共存させる、
ダイナミックなビジュアルや、
「チェイサー」「コクソン」の執拗な追跡劇へのオマージュとも取れなくもない。

こうした仕掛けは、映画を単なるエンタメ消費財に留めず、
観客との対話を生む工夫でもある遊び心の一環だろう。

高級ホテルの駐車係や接客係、バーテンダーなど従業員がホテルの滞在後の富裕者に対して強盗を働く物語。

結構ツッコミだらけなハナシ。

道路で銃を乱射し、強盗しているのになんでホテル側のみで犯人追及しようとするの？
あれだけ派手な強盗なら警察動くでしょ⁈
で、結局は犯人と犯人の金を狙う野朗の対決にすり替わり、ワル同士共倒れになれば！ってなる。

ラスト、ピアノマンがワル女に愛想つかせたのは良かった〜