LalaーMukuーMerry

誓いのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

誓い(1981年製作の映画)
4.1
ほとんどの日本人が知らない第一次世界大戦の一局面、オーストラリア軍(連合国側)とオスマン・トルコ軍(同盟国側)の戦いを、オーストラリア軍に志願入隊した二人の若者の物語として描いた作品。
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(邦題がなぜ「誓い」になったのか不思議だが)原題はGallipoli、ガリポリとはトルコ領土内の半島の名前。トルコのヨーロッパ側とアジア側の陸地の間にマルマラ海という内海があって、黒海と地中海(エーゲ海)をつないでいる。マルマラ海の東と西は狭いボスポラス海峡とダーダネルス海峡になっている。ヨーロッパ側の陸地からひょろひょろと盲腸のように伸び出てダーダネルス海峡をつくっているのがガリポリ半島だ。
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イギリスは戦略の要地であるガリポリ半島に敵地上陸して戦争を有利に進めようとしたが、ケマル・アタチュルク率いるオスマン帝国軍の激しい抵抗に遭い、全く目的を果たせないまま膠着状態が続いた。そのためイギリスは英連邦の仲間であるオーストラリアとニュージーランドに参戦を要請し、両国の志願兵からなる軍(ANZAC軍)が戦場に派遣された。
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長期にわたるガリポリの戦いで多くの戦死者が出ていて(トルコ側8.7万人、連合国側4.4万人(うちANZAC軍1.1万人))、ANZAC軍のガリポリ上陸記念の日4月25日はオーストラリア、ニュージーランドで国民の祝日となっている。
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戦争映画だが戦闘シーンは終盤だけ、そこを除くと全体的に明るい雰囲気。当時の若者たちのメンタリティーが二人の若者アーチ―(マーク・リー)、とダン(=メル・ギブソン)からよく伝わってくる。今のように戦場の生々しい報道がなかった時代、誰もが未来に疑いがなく根拠のない自信を持っていた時代。走るのが得意な二人のキャラは「炎のランナー」を思い出す。もの哀しいアルビノーニのアダージオ(BGM)も印象的。走るのが好きなことが終盤のエピソードに回収されていき・・・悲しいラストショット、これは記憶に残るシーンとなるでしょう。