かずぽん

ダークマンのかずぽんのネタバレレビュー・内容・結末

ダークマン(1990年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

【ダークヒーローというより怪人】

原案・脚本・監督:サム・ライミ(1990年・米・96分)
原題:DARKMAN

ダークマンを演じていたのは、リーアム・ニーソンだったのですね。しかも本作が映画初主演だったとか。ジャケットでは全く顔が分からない上、ダークマンになってからは焼け爛れた顔か、あるいは顔の殆どを包帯で覆われています。顔出しが少ないのはお気の毒でした。

彼は、ダークマンになる前は、ペイトン・ウェストレイクという名の生化学者で、人工皮膚の開発をしていました。助手は日本人のヤスキチ・ヤナギモト(ネルソン・マシタ)で、序盤の実験風景を見ていても、ペイトン教授からの信頼も厚く優秀な助手のようでした。
研究では人工皮膚の合成には成功したものの、99分で崩壊してしまうという致命的な問題がありました。しかし、その原因が「光」にあることが分り、暗い場所では安定していることも分かったばかりでした。

ペイトンにはジュリー・ヘイスティングス(フランシス・マクドーマンド)という恋人がいて、彼女は弁護士です。ペイトンはジュリーにプロポーズしましたが、彼女には気になる仕事があって返事は保留にします。ジュリーは、彼女が代理人を務めるストラック社の不正(賄賂)に気づき、告発しようと考えていました。
ストラック社の若き社長ルイス(コリン・フリールズ)は、マフィアを使って証拠を奪おうとします。
マフィアのボス、ロバート・G・デュラント(ラリー・ドレイク)は、ジュリーとペイトンが暮らす研究所に書類を探しに行くも、ペイトンには何のことか分かりません。助手のヤナギモトは殺され、ペイトンは拷問の末、薬品のタンクの中に投げ込まれ、研究所は爆発してしまいます。
この爆発でペイトンは亡くなったと思われましたが、実は両手と顔面を破壊され、全身の40%が火傷の状態で病院に搬送されていたのです。
病院では、痛みを感じなくする治療をしたため痛みは感じないけれど、その代わりに怒りの感情を制御できなくなりました。

ペイトンは自分が生きていることを隠しながら、復讐の鬼と化していきます。新たな研究所で密かに研究を再開し、人工皮膚を作り、ついには他人の顔に似せることも出来るようになります。怒りの感情が沸きあがるとアドレナリンが異常に増加し、その作用で超人的になって行きます。不死身です。
リーアム・ニーソンは、既にこの頃からアクションもこなしていたのですね。(エンドロールにスタントの名前もありましたが)
黒い帽子と黒マントに身を包み、顔は包帯を巻いたまま、ダークマンとなって復讐を誓うわけですが、あの包帯、どうしていつも薄汚れたままなのでしょうか?あんな不潔な包帯では傷が化膿するのじゃないかと、変な事が気になります。

ある時はマフィアのボスの顔に変身し、ある時はルイス社長の顔になって内輪揉めを起こします。またある時は、元のペイトンの顔に戻ってジュリーに会いに行きます。しかし、人工皮膚の限界は未だに解決されず、顔が崩壊し始めると全力でその場を離れねばなりません。哀愁漂うダークマンです。
終盤、高層ビルでの鉄骨上のバトルはヒヤヒヤのアクション。おまけにヘリコプターにぶら下がったまま振り回されるシーンもありました。グリーンバックを使った特撮でしょうか。
焼け爛れたペイトンの顔が、下顎の皮膚も唇も溶けて歯が剥き出しでした。このような異形のヒーローが出来上がるまでやアクションシーンのメイキング映像も観たかったです。
公開から34年が経過しても十分に楽しめる異形のダークヒーロー『ダークマン』でした。
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