ギズモX

ダークマンのギズモXのレビュー・感想・評価

ダークマン(1990年製作の映画)
5.0
僕が映画にハマりかけていた頃、(面白いスーパーヒーロー映画ないかなあ)とレンタルショップでたまたま本作を手にしてみたら、もうめちゃくちゃ面白くって、今でもオールタイムベスト級であり続けているという、アメコミテイストなノワールSF映画。

監督は後に『スパイダーマン』を撮ることとなる、あの"死霊のはらわた"サムライミ。
お約束のブルースキャンベルも最高のタイミングで登場するぞ!

ストーリーはマフィアに重傷を負わされた科学者が復讐していくという『デッドプール』ライクな物語で、ラストで恋人に対して取った行動が違う以外は『デッドプール』そのまんま。
"醜い自分の顔を見られたくないから彼女に会うのを拒否してる"ところとかマジで同じで、あの脚本自体が本作に対するオマージュだと思っています。

主人公ダークマンを演じるのは『96時間』のリーアムニーソン。
これが彼の初主演作品だ。
能力は他人に99分だけ変装できること。
ダークマンの焼け爛れた風貌とその顔つきは、
"モンスター映画に出てくる怪物をそのままヒーローに仕立ててみました!"
ってなカンジで凄くカッコいい!

本作の最大の特徴が演出でとにかくオーバー!
ダークマンが怒り狂った時は周りに炎が走ったりと所どころがアメコミチックですごく笑える。
憎いあん畜生を目撃した時とか、ピンクの像とか、5ドルの場面とか。
研究室が爆発したシーンなんかはほとんどギャグ。
彼は笑いの星で生まれたとしか思えない。
元がホラーテイストなのでバイオレンス表現も中々だが、スプラッターほどではなく、コメディ表現とのバランスが上手く取れている。

『ファントムオブパラダイス』や『ダークナイト』と比べるとあまりにバカバカしい作品かもしれないが、数奇な運命に巻き込まれて異質な存在と化した者の怒りと悲哀を描いた物語と、人としてのアイデンティティを失い、闇を抱えながらも情け容赦なく敵を皆殺しにしていく姿に無茶苦茶心を打たれる!
終盤の一気に盛り上がっていく展開が大好きです!

この映画を観た後に『スパイダーマン』三部作を鑑賞した時は共通点がとても多くて驚いた。
ピーターが能力に目覚めるところとか、ピーターがスパイダーマンを思い描くところとか、2のオクトパスのキャラクター設定だったりとか、
スタンリーもこの映画が好きだったらしい。

果てしなき悲しみと絶望を身に纏い、闇夜に生きる孤高の怪物の物語!
最高だ!!

「良心を鍛えているんだ」

【余談】

更にこのダークマン、実は『るろうに剣心』に登場する名悪役、志々雄様のモデルの一人らしいよ。
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