けんたろう

ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォーのけんたろうのレビュー・感想・評価

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友達と絶交するおはなし。


主題を可成り勘違ひしてゐた。
此れは飽くまでもヌウヴエルヴアグに焦点を当てゝゐる。其れも “二人“ のヌウヴエルヴアグにである。
故に、此れまでのゴダアルを明瞭に描いたといふわけでは当然なく、又たヌウヴエルヴアグ全体を余すことなく表現したといふわけでも決してない。

ゴダアルに就いて云へば、商業映画復帰後にこそ、即ち映画の可能性を独りで開拓してきた来し方にこそ、彼れの生き様がより顕れてゐると認識してゐる。又たヌウヴエルヴアグに就いて云へば、其れは決して右岸派だけのものではなく、もつと幅広い(故に定義しづらい)ものであるとも認識してゐる。
其の為め、本作には些か物足りなさを感じてしまうた。たゞ此れは、最初に述べた私しの勘違ひのせゐである。念の為め記しておくが、作品への非難では全くない。

とはいへ、ヌウヴエルヴアグを代表する二人が如何にして批評家から映画作家へと成つていつたのかや、仲間であつたはずの二人が一体何うして袂を分かつたのかを描かんとした本作は、矢張り面白い。
時代が齎した二人の協調と背離。そして其の渦中に在つたレオヽの哀しみ。
丸で一つのバンドが方向性の違ひに依つて解散したやうな、其んな印象である。

先日、ひとつのニユスが世界に激震を走らせた。最期まで世に衝撃を与へるとは、全くとんでもない爺さんである。安らかに眠れ。