原爆の何が怖いって、
投下完了しました!
はい!お疲れ!!
で、終わらないんだよ。
7年経っても、70年経っても。
投下から7年後の広島にかつての教え子を探して瀬戸内から旅をするんだけど、
そこには原爆の影がくっきりあって、原爆が無ければそこにあったもの、なかったものが浮かんでくる。
原爆という共通の悲劇ではあるんだけど、
今広島にいるかいないか、
投下時どこで何をしていたか、
何を失い、どう変わったか、
人それぞれ過ぎて分かち合うのが難しい。
主人公自身、家族を失っているけど今は広島を離れていて、
ずっと広島にいた人とはまた少し違う。
投下後の様子と7年後の子どもたちの無邪気に遊ぶ姿、
いく先々で背景に映り込む原爆ドーム、
誰もが抱える恐怖と怒りと苦悩。
確かに反核反戦を訴えてはいるのだけど、思ってたよりもしつこくなくてむしろ静かな感じで淡々と進むからちょっと拍子抜けした。
当事者たちにとって7年前の恐怖ってどんな感じなんだろう。
まだ生々しく覚えているものなんだろうか。
広島で撮影されて、広島の人々も参加したって書いてあるのを読んだ気がするけど、
どんな気持ちで撮影を見て、どんな感じで参加したんだろう。
私の祖父は3月の空襲の後片付けに行ったそうだ。
何もなくなった東京で何を片付けたのかは父も祖母もおじもおばも誰も知らない。
祖父は死ぬまでその話をしたがらなかったそうだ。
臭いの取れなくなった服を祖母がお風呂で焼いていたのを小さなおじとおばが見たらしいとだけ父から聞いた。
祖父のような人が広島にもたくさんいたと思う。
封印しないと日常生活を送れなかった人たちが。
その中で作られた映画だと思うと、意外と静かな語り口もまた違って見えてくる気がする。