原爆の子の作品情報・感想・評価

原爆の子1952年製作の映画)

製作国:

上映時間:100分

ジャンル:

3.6

「原爆の子」に投稿された感想・評価

初見は、文芸地下だった。

夏休み直前の学校の風景から始まるので「7月下旬か…」と思う。
職員室で女性教師(乙羽信子)が広島が故郷なので帰るとのこと…であるが、この時点では「広島に戻って、8月6日の広島原爆に遭遇してしまうのか?」なのか「既に終戦後なのか?」が判らないが、すぐに終戦後だと判る。
新藤兼人監督らしい「取材を女性教師(乙羽信子)にさせている感覚」になる映画である。

ただ、この後、物語が展開するにつれて、「(元使用人が盲目になって乞食をしているのであれば)その人の子供を引き取りたい」と女性教師が申し入れするあたりから、『親切の押売り』が気になってしかたがない。

また、原爆投下で足を悪くした女性(奈良岡朋子)の嫁入りの日に、その家族の団欒の夕餉に上がり込む女性教師というのも図々しい感じ。

親切の押売りが仇となる物語展開も感心できず、冒頭の被爆場面のリアルな再現シーン演出は見事だったものの、自分には合わない映画だった。
lag

lagの感想・評価

3.8
小学生のとき祖母が観ていたのを後ろで観てて、原子爆弾炸裂の場面が強烈で当時はそれ以降を見ることができなかった。

教員のお姉さんが教え子のその後が気になって終戦後久しぶりに広島を訪ねるところから物語は進んでゆく。

核の恐怖、原爆症の長い苦しみ。未来への希望、こどもたち。

戦争なんか糞食らえ、ピカさえなければ。生々しい作品。
「原爆に対して」というより
「原爆症に対して」という見せ方を強く感じた映画だった。
戦争映画、反戦映画かな?と思ってみていたが
コレを見て感じたことはそういったものではなく
人と人との絆や人間の生きる力の逞しさだったと思う。
「第五福竜丸」と同様、製作時に上からの圧力があって
反戦を唱えるにはこれしかない、とした方法だったのかもしれないが
保育所の先生だった乙羽信子が、当時の子供達を見舞いに行き
ついでに戦後広島の状況を伝えるみたいな物語。

モノクロ映画ってそれだけで敬遠しがちなんだけど
一度見てみると意外に目が離せなくなる良作ではあった。
…が、最終的に乙羽信子が偽善者ぽく見えてしまったのは
やはり現代人だからなのかな、とかふと思った。

最後の火事のシーン等、見ながらとても心苦しかった。
将来を思えば引き取るのがいいんだろうけど
でも絆があるから生きていられるという状態も分からなくもない。
大切な生きがいを奪ってしまうような行為に対して
子供自身も残ると言っている所への、この一連のやりとり。
残されたおばあさん、どうするんだろう…とかとも思ってしまった。

そして飛行機の音。
実は私もなぜか幼少時から飛行機の音が大変嫌いで恐怖を感じる。
経験者では一切ないんだが、乙羽信子らと同じようにハッとする。
でもそこを無邪気に飛行機だと言って喜ぶ、
いわば「戦争を体験してない世代」とでも言うのだろうか…
そういう見せ方も映画らしくて考えさせられる。
10/17/2017

資料として非常に価値がある作品だと思う。
婆さんがやたらすばしっこいのは少しおかしかったが、おそらく女優さんは役柄以上に若かったのだろう。
先生がかつての教え子たちと再会する構成は『二十四の瞳』のようでもある。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.5
2016/1/24鑑賞(鑑賞メーターより転載)
今でこそ第二次世界大戦だったり原爆を振り返る番組や映画も多々存在するが、生々しい被爆の記憶や厳然と残る後遺症にさいなまれる人々を嘘偽りなく描いた半ばドキュメンタリー的なこんな映画を、実際に原爆が落とされたわずか7年後の広島を舞台にして作ったというところに、広島を故郷とする新藤兼人の執念にも似たこの映画への情熱を感じる(そして主演の乙羽信子との関係も生まれたわけだがw)。まだ瓦礫だらけの広島の姿、死の恐怖と常に隣り合わせで生きる人々など「現在進行形」の描写の数々に、観るごとに一つ一つ打ちのめされる。
夢野猫

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3.5
日本の夏の恒例行事とも言える程、あちこちで戦争関連番組が……。
で、今観る戦争物ならコレかなと言う感じでチョイス。

原爆投下から七年後の広島の姿をリアルに撮影している。
とは言え、ドキュメンタリーでは無く原爆投下時に幼稚園の先生だった女性が、当時の教え子を訪ね歩く姿を中心にしたドラマ作品。

ドラマの出来栄え云々よりも、一歩裏に入ればまだ瓦礫の山の市街や「原爆ドーム」として整備される前の産業奨励館跡等のリアルタイム映像が目を引く。
原爆が落ちたあとの映像が生々しく心が痛かった。そのあとのストーリーは正直あまり同情できる部分がなかった。
love1109

love1109の感想・評価

3.7
ふと、新藤兼人の映画を観よう、と思った。戦前・戦中を生き抜いた日本人が戦後、何を書き、何を描いてきたかを、今、深く知りたいと思ったからだ。検閲を免れるため、自腹を切って制作された本作は、被爆国の人間が世界の人々に「原爆とは何か」を初めて知らしめた作品でもある。公開は1952年8月6日。つまりは被爆から丸7年後のこと。そして、同じ年の春、GHQが日本の占領を終えたことは、決して偶然ではないのだ。
当時どれだけ酷い状況だったのかがわかり、広島の人は辛い思いをしたのだと思いました

僕は戦争の映画を見ると本当に戦争は良くないと強く感じます!

この映画に出てくるおじいちゃんは僕にとっては結構重要人物だと思っていてこの人がいないと話は大きく変わると僕は思いました
創

創の感想・評価

4.5
原爆の何が怖いって、

投下完了しました!
はい!お疲れ!!

で、終わらないんだよ。

7年経っても、70年経っても。

投下から7年後の広島にかつての教え子を探して瀬戸内から旅をするんだけど、
そこには原爆の影がくっきりあって、原爆が無ければそこにあったもの、なかったものが浮かんでくる。

原爆という共通の悲劇ではあるんだけど、
今広島にいるかいないか、
投下時どこで何をしていたか、
何を失い、どう変わったか、
人それぞれ過ぎて分かち合うのが難しい。

主人公自身、家族を失っているけど今は広島を離れていて、
ずっと広島にいた人とはまた少し違う。

投下後の様子と7年後の子どもたちの無邪気に遊ぶ姿、
いく先々で背景に映り込む原爆ドーム、
誰もが抱える恐怖と怒りと苦悩。

確かに反核反戦を訴えてはいるのだけど、思ってたよりもしつこくなくてむしろ静かな感じで淡々と進むからちょっと拍子抜けした。

当事者たちにとって7年前の恐怖ってどんな感じなんだろう。
まだ生々しく覚えているものなんだろうか。

広島で撮影されて、広島の人々も参加したって書いてあるのを読んだ気がするけど、
どんな気持ちで撮影を見て、どんな感じで参加したんだろう。

私の祖父は3月の空襲の後片付けに行ったそうだ。
何もなくなった東京で何を片付けたのかは父も祖母もおじもおばも誰も知らない。
祖父は死ぬまでその話をしたがらなかったそうだ。

祖父のような人が広島にもたくさんいたと思う。
封印しないと日常生活を送れなかった人たちが。

その中で作られた映画だと思うと、意外と静かな語り口もまた違って見えてくる気がする。
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