原爆の子の作品情報・感想・評価

「原爆の子」に投稿された感想・評価

R

Rの感想・評価

2.0
夏休み直前の学校の風景から始まるので「7月下旬か…」と思う。

職員室で女性教師(乙羽信子)が広島が故郷なので帰るとのこと…であるが、この時点では「広島に戻って、8月6日の広島原爆に遭遇してしまうのか?」なのか「既に終戦後なのか?」が判らないが、すぐに終戦後だと判る。

新藤兼人監督らしい「取材を女性教師(乙羽信子)にさせている感覚」になる映画である。

ただ、この後、物語が展開するにつれて、「(元使用人が盲目になって乞食をしているのであれば)その人の子供を引き取りたい」と女性教師が申し入れするあたりから、『親切の押売り』が気になってしかたがない。

また、原爆投下で足を悪くした女性(奈良岡朋子)の嫁入りの日に、その家族の団欒の夕餉に上がり込む女性教師というのも図々しい感じ。

親切の押売りが仇となる物語展開も感心できず、冒頭の被爆場面のリアルな再現シーン演出は見事だったものの、なんとも残念な映画だった。
記録。
あれから7年後の8月6日。広島の空。

終戦後7年間に渡って続いたGHQの占領状態解除後の8月6日に公開。初めて原爆について描いた映画らしい。

目に飛び込んで来るのは、未だ癒えていない傷跡を残しつつ、復興に芽吹く広島の風景。フンドシ姿で遊びに興じる子供たちすら人生の大先輩。

広島に帰省する孝子を通して垣間見る人間模様から伝わるのは、一言で言うと(言い表せるとは思ってないけど)「爪痕」。

本作は記録映画ではなくフィクションなわけだけど、爆発によって十数万もの人が亡くなっただけでは済まず、7年経ってなお潜む死の恐怖や尊厳の損失は恐らく当時の真実だろう。

しかしながらそのような状況下において人の情が暗闇を照らす灯火のように感じることが出来たのはせめてもの救いか。

言うまでもなく広島は人類史上初めて核攻撃を受けた都市だ。その3日後の長崎を含めても、核兵器による攻撃を受けたのは現時点で我が国だけ。

何が出来るってわけではないんだけど、もう二度とあのような面持ちで空を見上げる人を生み出してはいけない。そう思いました。
mh

mhの感想・評価

-
ストレートな反戦映画。
戦後五年目の広島を主人公が巡ることで原爆投下のその後を追う。
現実は厳しいんだけど、優しいひとが多くてそれを中和してくれる。みなさんの感想に見られるノブレスオブリージュっぽいくだりがどうなのという気持ちもよくわかった。ただ優しいがゆえに残酷みたいなのは意図してないと思った。
復興が着々と進むもまだ見晴らしのいい広島の町並みと、いまは誰の口からも聞かれなくなった原爆スラム。建設途中の原爆資料館。川に飛び込みまくってる子どもたちと、めずらしいシーンも目白押し。
お前にもトラウマを植え付けてやろうかとも取れる「ひろしま」みたいな描写はなかった。
最終的にハッピーエンドなのでそのあたりもひとにすすめやすい。
なにがどうってわけでもないのに夢中で見たのは、新藤兼人と音羽信子がすごいってことなんだろう。
ほか、カットのつなぎにクロミが一コマ挿入されてるのはなにか意味あるのだろうか。保存状態が悪いというのとはまた別のことだと思うのだが。
面白かった!
花椒

花椒の感想・評価

4.0
終戦から7年たった広島太田川の三角洲。森永の看板の店はこの世界の片隅にの冒頭で海苔を届けにきた幼いすずさんが舟を下ろしてもらった場所のような気がする。そしてその近くにピカドンと書かれた看板?のある店?を見たがあれは一体なんだったのか?

その一方で三角洲に平和記念資料館の建設の内装工事にに母親たちがパート仕事に繰り出される

奈良岡朋子の若い頃を初めて拝見した。

乙羽信子の先生役。親切心であっても独りよがりはいけん。と2020年にこの作品を見た私は思うのだが、原爆が落ちて、同じように身内をなくした者同士、まだ被爆や戦争の傷を負っている者同士なら通じあい、受け入れられるものだったのだろうか?

こういう作品見ると、乙羽信子が「おしん」の晩年役を演じたのは説得力あるよな。当時は学生だった自分にはそんな視点は持ち合わせているわけがない
健一

健一の感想・評価

3.7
1952年 🇯🇵映画 モノクロ作品。

新藤兼人監督作を観るのは恐らく初めて。

被爆から7年後に製作された本作は原爆を題材とした最初の日本映画と言われている。

広島の幼稚園で働いていて被爆した孝子は瀬戸内海の島で教員をしていた。
原爆投下から7年後の夏、孝子は広島を訪ね かつての使用人だった岩吉と再会する。
岩吉は被爆し 浮浪者同然の暮らしっぷり。
孝子は元同僚から教え子達の居所を聞き子供達を訪ね歩く。
生き残った子供達は中学生になっていた。
ある子は原爆症で父を亡くし、ある子は今だに病床に臥せている。ある子は両親を亡くし兄弟達と肩を寄せて暮らしていた。

終戦から7年しか経っていないので広島の街並みがとにかくリアル!
橋の上から川に飛び込む子供達、所々に木々が生い茂っていたり パン屋、時計店など小さいながらも商店が立ち並んでいて少しずつだが復興していったのだなと痛感する。

一方で 原爆症に苦しむ人々、両親を失った多くの孤児達、そのままのガレキ、そして原爆ドーム。
生きていくのに精一杯な人々の生活状況にも胸が苦しくなる。

自らも両親と妹を原爆で失った主人公の孝子が少年少女になり成長している子供達を訪ね再会していくと同時に被爆からたった7年しか経っていない広島の今をフィルムに焼き付けていて観客の眼を離さない。想像以上に衝撃的でした。

飛行機が爆音をあげて空を飛ぶ。
無邪気な子供たちは「飛行機だ!」と空を指差し微笑む。
大人たちは「えっ、まさか!」と思いつつ不安さと恐怖心を抱いて空を見上げ 消えていく飛行機に安堵する。
このシーンがたまらない。観ていて本当に恐ろしかった。

今から68年も前の作品なので 音声の不備、声の聴き取りづらさ、映像の乱れ等は あらかじめご了承ください。

この作品が現代に残っているということが重要なのです!
原爆を描くだけで反米的だと言われた時代に、製作した気概が素晴らしい。乙羽信子と新藤兼人が付き合うことになる作品。乙羽信子が迫ったというので、主人公のキャラと違う感じ。「第五福竜丸」より情緒的な感じだ。
ゆう

ゆうの感想・評価

3.6
授業の紹介から。新藤監督2作品目。
1952年に作られた。原爆後の姿。原爆がもたらした人々の苦しみが主人公の先生を通して伝わってくる。最後の雲は原爆の雲を意味しているのか。岩吉おじさんの苦しみも理解できる。生きているだけで幸せという言葉。お母さんとお父さんのいるところに行けるという言葉。
7年経って作られた映画、とても意味のある戦争を学ぶのにいい作品。
10年ぶりくらいに鑑賞。広島に原爆が落とされて75年。今年も人類史上最悪の過ちといっても過言ではない黒い歴史を振り返る季節がやってきた。人類史上最大の無差別大量殺人。死亡者数は約14万人。本作には被爆から7年後の広島が映し出される。原爆の被害から徐々に復興していく街並み。原爆の後遺症に苦しむ人々。消えることのない途方もない悲しさと苦痛が依然として漂い続ける。しかしその悲しさに寄り添って手を握る人間の温もりもある。悲しみの中の温かさに涙が出る。全体的に温かさに溢れた反戦映画。広島の食らった途轍もないダメージは想像することしか出来ないが、残されたフィルムが想像力を手助けしてくれる。被爆から7年後の広島を見て感じて、これからも後世に伝わっていってほしい作品。
yoko45

yoko45の感想・評価

4.5
 瀬戸内海の島で教師をする石川先生(乙羽信子)は、かつて広島に住み、原爆で両親と妹を失いましたが、久しぶりに広島の友人を訪れます。
 そこで偶然にも昔の家で奉公していた目の見えない岩吉と再開、また以前勤務していた幼稚園の教え子たちが三人生きていることを知ります。
 石川先生は岩吉の家を訪れ、教え子たちにも会いに行きますが、戦争が終わっても苦しみと悲しみが続いていることを目の当たりにして…

 戦後10年もたたないうちに制作された作品で、8月6日に公開されたそうです。
 原爆が落ちた直後の被爆した人々の画が観ていてとても辛くなります。反戦を声高に叫ぶわけでもなく、アメリカ憎しの描写があるわけでもなく、瀬戸内海は穏やかですが、飛行機の音が聞こえる空の方を見上げると、あの時のことを思い出す、心に静かにしみてくるような作品です。
今作品制作が昭和27年。
終戦からたった7年後の傷跡も生々しい広島を舞台に原爆をメインテーマにしたこの映画を、戦後生まれでダラダラとぬるま湯に浸かって生きてきた若輩者の自分如きが感想する事事態がおこがましい。

黙って観て、受け止めるしかない歴史。

そういう作品だったかな~。
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