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イニシェリン島の精霊の創のネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ウスノロバカマヌケ という悪口が語感の良さだけでなくどこか馴染み深いのは、
そこはかとなくノロマでバカで言動がどこかマヌケな人って身近にいるよね。という親近感から来るものであるような気がする。

少なくとも恐らく私は他人から見ればウスバカマヌケぐらいに見えてる時はあると思う。
せっかちだからノロマではない気がするけど。

と、急に自分の根底にあるヘイト意識みたいなものを意識させられてしまうほどにパードリックになんとも言えない実在感があった。
眉間に皺を寄せて眉尻下げてなんの悪意もなく純粋に、理不尽に失ったと思ってる友情を取り戻そうとする様には最早恐怖を感じる。

「悪意がない」という免罪符は早々にこの世から消えて欲しい。
問題は発出者の悪意ではなく受け手の疲弊だろ。

だから指を切り落として投げ付けるのにむしろ拍手を送りたくなる。
分かる!そういう瞬間ある!有言実行すごい!偉い!ヴァイオリンは!?大丈夫なの!?

…あれ?なんか私追い詰められてるんだろうか。
と、観終わった直後も思ったのだけど、今も割とコルムも賞賛したい気持ちはあるからやっぱりまだ疲れてるのかもしれない。

コルムは生まれる土地を間違った。時代を間違った。と片付けるのは簡単だけど、
コルムにも出ていく勇気は足りなかったとも言える訳で。
出ていく勇気をこの時代この場所で求められるのは流石に酷だし辛い気がするけど、
妹が出て行けたのであれば、コルムにも違う人生があり得たんじゃないかと思うとすごく悲しい。

最近のロバの演技力には見惚れる。凄まじい。
ロバかわいいな。
なのにドンキーが悪口なの酷いな…。
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