創

ある男の創のネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃ良かっためっちゃ好き。

原作からのカットの仕方が思い切り良くてめっちゃ好き。
これどうするんだ?と思ったらそこも切っちゃうんかーい!なにそれすごい!大胆!そしてめっちゃ良い!
しかも仲野太賀がちゃんとそういう顔してんだ。
あんな数秒の中でちゃんと色んな想いを感じられるんだからめっちゃ良い。
そしてそれをサポートしたマジーと清野菜名ちゃんめっちゃ良い。

もちろんブッキーも安藤サクラも窪田くんも柄本明もでんでんさんもきたろうさんも、なんなら出演者が全員良い仕事しててめっちゃ良かった。

悠人もめっちゃ良かった。
きっと安藤サクラに引っ張られての表現もあるけど、そもそも付いていけてるのがすごいよ。


私も時々、嘘の人生を語ることがあった。
今は饒舌なタクシーの運転手さんに調子を合わせる時に軽く嘘混ぜるぐらいしかしないけど、
かつてはひとりで飲みたいからひとりで飲んでるのに空気読まずに話しかけてくる奴に、
腹いせがてら偽の名前と偽の仕事と偽の経歴を話してた。
まさに最後の城戸のように。
ただおそらく、小一時間以上自分では無い誰かになるのは難しい。
本当のことでは無いから深く突っ込まれても答えられない。嘘はバレる。
たぶん、嘘をつき通せるのは詐欺師か原誠のように必要に迫られてよっぽどの覚悟と準備をした人だけだ。

肩書を得ると肩書と自分を混同する人も多い。
みんなが頭を下げているのはお前自身ではなくお前が働いてる会社のたまたま今お前が付いてるそのポスト。
その反対側でありイコールなのがヘイトで差別なんだろうと思う。

肩書や立場や育ちを取り去っても残る何かがある人、案外出てこない物語なんだよな。
だから、最後のシーン、最高だった。
何者でもない自分が誰なのか分からなくなるの最高だった。
創