創

月の創のネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

結局なぜ彼がその発想に行き着いたのかは明示されていなくて
仕事なのか職場環境なのか煙草ではない何かなのかもともと彼が持っていたかもしれない特性なのか。
ひとつのきっかけに思えるシーンはあるんだけど、それじゃちょっと違うのでは?と思ってしまった。
いや。なんとなくそれまでの積み重ねも察するけどさ、だからこそ、あの雨の夜のあの部屋で見たものじゃダメだったんじゃないかな。
だから消化不良感が残ってしまうし、彼は主張するのに主人公がその主張をボコボコにしたりすることもなくただ泣きながら許さない連呼するだけで
これ映画にする意味あったのか?と思ってしまった。
じゃあ外国の人は?言葉が違う人は人間じゃないの?って聞いてくれるだけでも良かったんだよ。
だって昌平は俺の息子は喋れなかったって言ってるじゃん。
良いじゃん。別に。出生前診断とは違うで良いじゃん。

と、思いつつ、彼が事件を起こした理由に納得のいく答えがあるとは思えないし、
映画の中でボコボコにしたところで現実に起きた事は変わらないのだけど。

パーツパーツで観れば魅力的なシーンもたくさんあったと思うけど
実在の事件をモチーフにした映画でやるのはどうでしょうか?みたいなシーンが多く
てそれが雑音になってちょっとピントがブレブレになっている印象。

深い森を進む不穏なシーンはそこだけを切り取れば魅力的なシーンなんだけど
行き着く先が施設なのはどうなんだろう。そんな暗くて奥まってないとダメだった?
しかも徒歩圏内に住んでるのかな?バスとか通ってるのかな?1時間に何本?車ないと通勤辛くない?
と心配してみればすぐ人通りのある通りに出たりもするしいまいちどういう所にあるのか分からなかった。

4人で初めてご飯食べるのにあんな悪意の応酬みたいな反則ギリギリ攻める団欒ないでしょう。
もはやホラーでしかないし、普通はもう少し他者に思いやりを持って接するものだし、あんなご飯食べたくない。
私なら非正規だしもうそのまま2度と出勤せず残した私物も捨ててください。で、速攻逃げるわ。
普通に出勤して顔を合わせてからもまた書き始める強さがあるならさとくんにちゃんと言い返して欲しかった。

昌平以外の主人公含めた主要人物のだいたい全員が意識的か無意識かは置いておいても他者に悪意や攻撃性を持っているのが妙に気持ち悪い。

現実として、介護の現場にも様々な問題はあるのだろうし、陽子が食卓で不倫クソ親父に語るような報道も見てるよ。見てるけどさ。
その闇の部分多めで味付けされちゃうと、多くの人があの施設もこうだったのか、こういう施設ならああいう犯行に至るのも仕方ないのかもしれない、と思ってしまわないか不安になる。
さとくんと洋子のタイマンの後にすぐ事件じゃなくて措置入院するならそのまま解雇でも良いから入れて欲しいと思っちゃう。

私だったら初めて賞とったらその場で相手が出るまで電話するし、出ないまま帰り着いたら速攻でねえ!ねえ!ねえ!聞いて!!!ってなるのに昌平すごいな。
この夫婦の再出発は別々の映画で観たかったなぁ。

意義のある映画だとは思うんだけど、この映画じゃ介護職の給料は上がらないし人手不足も解消しないと思う。
要素と要素がシーンとシーンがチグハグな感じが強すぎてイマイチたくさんの星を付けられない。
モチーフとしたじゃなくて着想を得ただったらもっと違った目で見れたのかもしれないけどそんなの言葉遊びだしな。
冒頭の障害者の表記で、障がい者でも障碍者でもないその表記で感じるものもあったんだけどな。
創