創

千年女優の創のネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

一言で言えば、虚実入り混じったひとりの女優の人生史。
そのあらすじに嘘は無いけれどいくつもに枝分かれした物語は映画何本分だろう。
単純に千代子が出演して来た映画全てちょっと観てみたいと思わされるし、
立花源也というあまりにも一途で純粋な男の生涯の恋の物語でもあるし、
井田くんのとんでもブラック仕事体験談でもあるし、
島尾詠子の妬み嫉みからの一応の謝罪の物語でもあるし、
大滝のトンデモ「女優を落とす」講座だし、傷の男の罪と贖罪の物語でもあるし、鍵の君の逃亡の物語でもある。

観ようによっては何度も生まれ変わりながら出会いだけを繰り返しいつまでも再会できない男女と毎回助けてくれる男と毎回邪魔する周りの人々みたいな輪廻転生の物語にも観えるし、
そもそも呪いをかけたのはずっとずっと未来の自分自身なんじゃないかみたいなタイムリープの物語とも観れるし、
なんていうか、いやー、本当に何回観ても飽きないんすよね。
で、何回観ても最後の台詞に痺れるんすわ。


観ると毎回千代子以外の人の人生が気になる。

立花さんはあのビデオテープに埋もれた事務所で生活してて家族もいないんだろうか。
どういう経緯で銀映から独立することになったんだろ、そもそも仕事あるのかな、どんな仕事してるんだろ。
あのビデオテープの山どうせだいたい藤原千代子なんじゃないの?

井田くん全然悪い人じゃ無さそうだけど割とすぐに撮ってること忘れちゃってるみたいだから
すげープロって感じではないのかな、だからあんまり仕事無さそうなロータスなんかでカメラマンやってるのか。
ツッコミが素早いの素晴らしいのにな。

島尾詠子は別に最初から引き立て役だった訳じゃないよね。
じゃあ島尾詠子がヒロインの映画ってどんなだろ。
時代に合わないけど職業婦人の映画だったりしそうだな。

大滝いくら専務の甥っ子でもそれなりに良いもの作れないと監督にはなれないだろうから良い監督だったのかな。
モテない訳でも無さそうなのにトンデモ作戦で千代子と結婚するってことはもしかしてこの人も満州からずっと千代子のこと好きだった?
いやー。でも申し訳ないが絶対一途じゃないだろうな。

傷の男は結局戦場に行って足も視力も片方ずつ失ってしまったのか。
思想犯を捕らえるような国内の治安を維持する役割の人まで招集されて戦地に行かされるなんてマヂで負け戦だな。

北海道から出て来て絵を描いて思想犯になってしまう鍵の男、どういう経緯でその思想に染まっていったんだろ。やっぱ絵描きだからかな。

あの鍵は鍵を持つ立花は千代子の人生にとって本当に大切な鍵だったんだな。
30年待ってまた出会えて良かったね。
千代子が本当にまた会いたかったのは鍵の君でも鍵でももちろん立花でもなくて鍵の君に出会った頃の千代子だもんね。
思い出せて良かったね。
創