【堂々巡りの繰り返し】
台詞もストーリーも無いに等しく、オトコ2人の逃走劇の中で、現実と回想(と言うより妄想?)が重層的にループを繰り返す、何とも不思議な作品でした。
物語(のようなものがあるとするならば)こちらは最初から置き去り状態です。
しかし、映像技術は凄まじいレベルで、疾走感からはある種の緊迫感が、シーンの繰り返しからは不安感と疲労感が、強い印象として残されていきます。
その結果として、長い時間と広い空間を、映像の中の2人と共有した気分になりますが、実は短い時間と狭い空間の中のお話という。
そして最後には、全てがまた、最初にループしていきます。
何となく、釈迦の掌の上の孫悟空について思い出される映画でした。