Daisuke

シャカリキ!のDaisukeのレビュー・感想・評価

シャカリキ!(2008年製作の映画)
3.7
[王道って]

え?
映画を見た後にFilmarksの感想を覗いたら驚くほどに評価が低い。
なぜだろうか?といろんな感想を読ませていただくと、

・漫画原作の評価が高い
・演技がちょっと
・自転車レースとしてリアルじゃない
・シナリオがベタで王道すぎる

と、こういった感想が多く、
確かになあ...と思うものの、それでも自分が思う映画や物語に大事な部分はしっかりとあったと思う。
正直、ちょっと感動してしまいました。

原作を知らず、ロードバイクは実際に乗っていて好きだけどレースまでは出ていない自分が言うのもなんですが、あくまで「自分は良かった」という自分の中にある映画の考え方と向き合うためにも書いておきます。

主人公の行動原理は「誰にも負けない」という私が子供の頃によく読んだ少年誌の主人公のようで、懐かしく感じました。
そもそも彼が何故自転車が好きになっていったのか、坂では負けたくないのか、そこはしっかりと描かれていました。

そして重要なのは、自転車レース特有の「チームで動かないと勝てない」という原理。

主人公の「誰にも負けない」と「チームで動かないと勝てない」というのは実は相反するものであり、主人公はそこにどう折り合いをつけるのか、
つまりは、

「自分を捨てる事ができるのか?」

という部分をちゃんと描いたところがとても好みでした。
(余談 スラムダンクという漫画の最後の試合を少しだけ思い出しました)

これは自転車映画ですが、
もっと大きく言えば「青春映画」だとも思うんです。
青春映画には必要不可欠な「自分と向き合う」という事、そして何かを失い、そして学ぶ事を主人公は行っています。

それに山岳でのあのシーンは、自転車競技から逸脱する行為であり、あそこが1番アガりましたね。
もうね、熱い。熱くて恥ずかしくもなるけれど、

「ばかやろう。最高じゃねえか」

と。
もちろん感想を書いている皆さんの意見はごもっとも。
全体的に漫画的で、演出もチープで、古臭い。

ですが、
あの主人公の乗っていたクロモリの自転車(昔はこれが主流であり、現在ではレースであまり使われない)のように、古き良き「王道」を久しぶりに見て熱くなりました。

実は今も、感想を書いていて結構感動してたんだな、と。

たくさんの映画や物語を見ていると王道とは気恥ずかしいものに感じる時がありますが
やはり王道というのは懐かしさと共に、やっぱり熱くなってしまうものだなと。

以上になります。
家に帰ったら、とりあえずロードバイクの整備をしよう。
Daisuke

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