２時間たっぷりエピソード多すぎで飽きさせない。呼子町の漁業経営まわりの人間関係だけじゃなく三木隆を取り巻く女たちの闘い東京バージョンも。三木隆って演技は上手くはないけどスッとした綺麗なお方だれーって、あの三木たかし先生か。兄経営の紳士ブティックの店名はドリアングレイ。義姉ベルさんの粘着質な愛情と婚約者の津島恵子のわがままビッチぶり。食堂車で待つ津島恵子はサイコパス…つかあのまま殺されるかと思ったし。もうここだけでハラハラさせるし一本の作品が作れそうなのにこの恐ろしいドロ沼パートはまだまだサイド。船長の三國にボディタッチしすぎ三國を勝手に兄と慕う孤児の石浜朗は讃美歌歌っていつもの役割。ああボクも大きな船に乗りたいなあ。ふたりはしゃいで船から落っこちるサービスもあり。坂本武と笠智衆の友情やら、杉村先生に岸輝子の母親軍団、娘は木暮実千代に桂木洋子それぞれの恋愛も盛りコーネ。三國と弟の向坂渡との船上での殴り合い蹴り合いのアクションもなかなかだし、町のヤクザものとの大乱闘から酌婦小林トシ子が銃弾に倒れる身体の動きがもの凄い。その前には三國にメチャクチャにされてるし、小林トシ子がとにかく素晴らしい。笠智衆も役所に談判で目剥くほど嘆願し尽くして気絶。終盤の汽車でガンガン繋ぐ演出は倍速かってくらい忙しくてほんと疲れた。これでがっちりハッピーエンドに持っていく力技すごい。ついていくので精一杯。

舞台は呼子、イカ漁じゃなかった。水兵帽ににサングラスの宮口精二、船も出さずに永田と昼から酒宴で佐田啓二を階段から蹴り落とすバイオレンス、弟に突き飛ばされて階段から落ちる岸輝子、そーきたらベルさんが東京の三木隆の洋服店の階段を上るときどうしてもヒヤヒヤしちゃう。ピアノ引いて三木の出方をうかがう津島恵子、ソファに座った瞬間にコイツ左幸子かと。あんなに冷たくされても笑顔を崩さず動じない恵子も肝が据わってて面白いけど、別室でそっぽ向いて対面してる東山千栄子とベルさんもぞわぞわするし怒って飛び出す義弟追っかけるのに化粧直しして帯を鏡見て整えるベルさん、歪んだ愛情の片鱗見せてベッタリしちゃってもう楽しすぎ。恵子が列車の中で木暮実千代を呼び出すとこも落っことされそうでドキドキ、こんときもビール飲んでたし、三木の部屋来たときも昼から飲んでる。駆け込んでわめき散らす杉村春子も漁業組合と揉めたり火の車な上に船まで取られそうな笠智衆もひとり海を眺めてる恋人亡くしたらしい小林トシ子も複雑すぎる事情を抱えてる。そのうえ未亡人の実千代は三木に想いを打ち明けられ、外から迎えた船長二人三國連太郎と向坂渡兄弟と美千代と桂木洋子姉妹で何か始まりそうだし、氷川きよしみたいで中性的な石濱朗くんは三國にべったりで、トシ子も三國に言い寄って、そこに東京の三木隆を取り巻くいろいろ、恋愛沙汰も複雑。複雑なのぜーんぶからめての終盤のお料理ほんとすごい。人形洋子さんに似てた。なんでも兄貴に相談しないとな向坂の言葉聞いて泣き出す洋子、駆け寄る実千代、ついてきて見てたのね。兄貴とは船上で喧嘩、止めるきよしは三國に抱きついて、飛び入るトシ子にやいやい参戦する悪党二人、組んずほぐれつ大乱闘。さいこーです。浮草でも裏切る三井さん。気絶するほど目を見開いての笠智衆の演説。杉村春子も絡んで泣いて小林トシ子も絡んで泣いて、呼子組の女たちみんな泣いてる。トシ子はートシ子はどうしたのーと思ったら三國がはなむけの言葉を言って終わって、ほんっと最高。からかわれて張り飛ばして泣くトシ子に向ける三國の視線優しかったもの。

衛星劇場
2015.07