こたつむり

名探偵登場のこたつむりのレビュー・感想・評価

名探偵登場(1976年製作の映画)
3.5
★ あなたは絶対騙される…はず…

気味悪い洋館に古今東西の名探偵が集結し、殺人事件の謎を解く物語…ですが、ジャンルとしてはコメディ。肩の力を抜いて鑑賞するタイプの作品でした。

だから、登場する探偵たちもパロディ。
…と言っても本格ミステリからの引用はエルキュール・ポワロとミス・マープル。後はハードボイルド系だったのが残念なところ(中国人の探偵については未読ゆえに系統不明)。

やはり、原著あってこそのパロディですからね。ミステリの王道とも言えるホームズやクイーンが選ばれなかったのは不思議な話です(後から知りましたがホームズ登場版もあったとか。欲を言えば“ミステリ大国”日本からも一人くらい…)。

また、物語の中心となる事件についても。
…コメディ映画ですからね。真剣に考えると損をしますよ。中には“口が開いたまま”となるトリックも含まれていますので…本気で挑まない方が良いと思います。

というかですね。
たとえ本気になったとしても…きっと真相に届くことはないでしょう。そう。本作は「誰もが騙される」「全ての人が罠に嵌る」物語。過剰なキャッチコピーが目立つ邦画界が「他山の石」とすべき作品なのです。

まあ、そんなわけで。
何よりもミステリは雰囲気が大切。
そんな基本を教えてくれる作品でした。事前に『ノックスの十戒』や『ヴァン・ダインの二十則』を押さえておくと更に楽しめます。

ただ、笑いの方向性としては欧米風。
好き嫌いはクッキリ分かれると思います。また、視覚障碍者や聴覚障碍者、東洋人を揶揄する展開もありますからね。その辺りが気になる人は観ないほうが良いでしょう。

余談・1
本作を鑑賞したときに西村京太郎先生の小説『名探偵なんか怖くない』を思い出しましたが、本作は1976年の作品。小説は1970年の作品。なんと、小説の方が先なのですね。これはパク…(略)

余談・2
あと、清涼院流水先生の『ジョーカー』も思い出しました。探偵が多すぎる、理解不能なトリック、そして真相…。これもパク…いやいや、深層意識で参考にしただけですよね。ね。ね。
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