アニマル泉

血は太陽よりも赤いのアニマル泉のレビュー・感想・評価

血は太陽よりも赤い(1966年製作の映画)
4.0
「怒りが表現の原点だ」と言う若松孝二がストレートに若者の怒りを描いた。若松はアップと俯瞰だ。目のクローズアップ、俯瞰ショット、大胆なメリハリが素晴らしい。
若松の「円環」の主題。乱行や輪姦の場面は円環が現れる。男が胎児のように丸まる俯瞰ショットも若松の十八番だ。子宮と胎児の象徴とよく言われるが若松の「円」が気になる。本作は丸い太陽が強調される。
高校生(大塚和彦)がヤクザを次々に刺していく場面、引込線の縦構図のロングショットのワンカットで見せるのが凄い。決定的ショットだ。
舞台は横浜中華街。鶏の首を刎ねて、首のない胴体をぶら下げて街を歩くカット。挑戦的だ。
プライベート・ルームというマンションが当時あったようだ。不倫の場所や若者のアジトなどいかがわしいマンションだ。そこで鉢合わせる設定が面白い。
本作は乗り物が多い。背景で走り去る電車や船が印象的だ。
若松はスチールモンタージュを多用する。細かいカットバックのモンタージュを好む。本作では法華経の南無妙法蓮華経とジャズの音がミックスされて濡れ場と踊りが荒々しくモンタージュされる。
家族の食卓を真下から撮る4ショットが繰り返される。
「俺が太陽になる!」本作では空がたびたびインサートされる。
白黒シネスコ・パートカラー。
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