アニマル泉

四畳半襖の裏張りのアニマル泉のレビュー・感想・評価

四畳半襖の裏張り(1973年製作の映画)
4.3
神代辰巳が宮下順子、芹明香と初めて組んだ作品。袖子(宮下順子)と信介(江角英明)の濡れ場を御簾ごしにロングショットの長回しで描く。宮下順子が赤い襦袢を噛むのが官能的だ。宮下順子の口に魅入られる。袖子が布団に潜り込み、片手を伸ばして信介の口を塞ぐ長回しのショットは神代辰巳と撮影の姫田真佐久の真骨頂だ。
大正時代の芸者置屋「花の家」が舞台である。袖子と信介の濡れ場を軸に様々な人間模様がカットバックされる。花江(絵沢萠子)が花丸(芹明香)を仕込む、卵を股に挟ませる、股で吹き戻し笛を鳴らさせる。夕子(丘奈保美)と軍人・幸一(粟津號)はいつも時間がない。米騒動 ロシア革命 シベリア出兵などの写真や字幕がコラージュされる。さらに猥歌、芸者の花電車、太鼓持ちのびん助(山谷初男)の首吊り騒動などが挿入される。
人力車で情事に耽る江角英明を絵沢萠子が人力車で追いかける躍動感がいい。「走れ!走れ!」
ラストは逃げ出してくる芹明香、天井の蝿をつかまえる絵沢萠子でスタッフクレジット。
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