こたつむり

裸のジャングルのこたつむりのレビュー・感想・評価

裸のジャングル(1966年製作の映画)
3.7
♪ まんまる目玉を ベッカンコ
  グリグリ回して ベッカンコ

人間にとって大切なもの。
それは敬意(リスペクト)だと思います…って、傲岸不遜な僕が言っても説得力皆無かもしれませんが、事実は事実。雨が降っても槍が振っても変わりません。

勿論、その対象は人間以外にも及びます。
僕らを照らす太陽から始まって、悠久の大地や、命の源である水、魂を円環で繋ぐ猫や犬や鳥や虫などの動物たち、風にそよぐ草花など、ありとあらゆるものに敬意を忘れてはいけないのです。

だから、文明社会ど真ん中の21世紀と言えど。
文明の利器を失っても愚痴を言ってはいけません。寧ろ「これまでありがとう」と感謝して一から出直す…そんな謙虚な気持ちが明日を繋ぐ架け橋になるのではないか、と強く思います。

さて、本作はそんな現代人に向けた寓話。
象牙を乱獲するためにアフリカに赴いた西洋人が、敬意を忘れたことにより、全てを失ってジャングルを彷徨う…しかも、原住民に命を狙われながら…という物語なのです。

ゆえに、現代人は鑑賞必須。
お金を払えばご飯が食べられる…そんな勘違いをする前に、現状が恵まれていることを思い出すためにも座して本作に臨まねばならないのです。

但し、そうは言っても1960年代の作品。
直接的なグロ表現はないし、アクションは作り物満載だし、動物たちの狩りの場面は唐突過ぎるし…と色々と難は多いのですが。

それをカバーできるのが想像力。
粛々と脳内変換を行いながら「自分はどうなのだろうか…こんな状況で生きていけるのだろうか…」と煩悶すべきなのです。

まあ、そんなわけで。
机を叩いて「なのです!なのです!」と唾を飛ばしながら叫びたくなる物語。たぶん、そうしないとシンドイから…なんでしょうなあ。自分は間違っていない…と考えないと理不尽な展開に付いていけないのだと思います。です。

また、現代の価値観だと本作は成立しませんが闇に葬ってはいけません。西洋人が差別的だった…それを痛烈に描いているのですからね。
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