真鍋新一

舶来仁義 カポネの舎弟の真鍋新一のレビュー・感想・評価

舶来仁義 カポネの舎弟(1970年製作の映画)
3.1
「CHICAGO シカゴ」ーー東映マークの直後に出るテロップ、葉巻をくわえた若山富三郎が弟分の山城新伍と渡辺文雄が来日するオープニング、意味不明。シカゴ?来日?

どうやら3人とも日本人ではないらしく、最初から最後までずっと適当な英単語とインチキな日本語を話し続けるので物語の理解が追いつかないレベルで観づらいのだが、絵面が面白すぎるので飽きずに観てしまった。

映画館に行って「極道」シリーズを観ながら「若山富三郎はビックスターね!!!」などとメタ発言を繰り返すのは当たり前。任侠映画のパロディ…ではなく、任侠映画の世界にヤバいキャラを放り込んで適当に放し飼いにしたというほうが正しい。言動もいでたちも明らかにまともでない3人と向かい合い、通常の任侠映画のオーラでやさしく接している和服姿の大木実親分まで狂っているように見えてしまう。

基本的にコントロールの利かない若富と山城新伍の間に、比較的マトモな渡辺文雄が入るバランスがちょうど良い。本当は東大卒で英語とフランス語を流暢に話せる彼が2人に合わせてインチキな日本語でしゃべるのも滑稽でおかしい。さらに、他の映画では基本的に主人公の足を引っ張ることしかしない山城新伍が、今回はやたら仕事ができる。味方側にほぼ犠牲者が出ない安心感は賛否が別れそうだが、たまにはいいんじゃないだろうか。

おじさん3人が特に意味なく遊園地でキャッキャと遊ぶシーンなど、一体なにを見せられているんだろう???という困惑は最初から最後まで続くが、極道アイドル・若富の長編コントだと思えばそれも悪くない。殴り込みのシーンは無駄に爆発がすごかったり、血のりがタイミングが気持ち悪いほど良かったり。

青山ミチは歌の場面もないし、何のために出てきたのかまったくわからない。
真鍋新一

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