でしょうかな

パーフェクトブルーのでしょうかなのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.8
アイドルグループを卒業し、女優としての道を歩み始めた未麻。しかしその転身は必ずしも順風満帆ではなく、周囲では奇妙な出来事が立て続けに起こり、やがて殺人が発生。果たして彼女が見ているのは夢か現実か?

今敏の監督デビュー作。前から気になっていた本作がリバイバル上映とのことで、久々に映画館へ。
めちゃくちゃ面白いサイコサスペンスだった!芸能界を舞台に、現実と妄想の境界が曖昧になっていく、元アイドルの女優とその周囲の人々を描いている。あらすじにしてみればありふれた展開と設定だが、実際に観ているとその描写というか演出が実に巧みで、現実と虚構が渾然一体となっている感じは実写でなくアニメーションだから出来たのだと思わされる。音響もメリハリが効いていて強く印象に残った。見ごたえのある場面はいくらでもあるが、個人的にはポスターにも使用されているアイスピックでの襲撃の下りでやけに心を揺さぶられた。
作られたのが90年代なので現在から見ると古い描写も多いが、オンラインで膨らむ妄想や芸能界の性的搾取やコンプライアンス問題など、むしろ今でこそより現実味を感じられるかもしれない。

監督の作品は『妄想代理人』しか観ていなかったが、他の作品も気になってきた。
でしょうかな

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