しろくま

大魔神のしろくまのレビュー・感想・評価

大魔神(1966年製作の映画)
3.5
2022.03.05/050/GYAO
〝その武神像をわしが壊したらどうなる?花房の者も領民どもも、ただその像を心の頼りに結ばれておる。その像を壊せば、奴らは拠り所を失う筈。その像を叩き潰してしまえ〟

だめでしょ。そんなことしたらって思って観ていたら、案の定の結末。武神像の埴輪のような優しい顔が怒りに満ちた鬼の形相に変わり、悪役左馬之助をやっつける勧善懲悪の展開に。

ただ、大魔神になるまでの前振りが長い。左馬之助が、クーデターを起こしてから、ずっとドラマパートが続き、大魔神の登場は、もうないんじゃないのって思うほど引っ張る。ガメラとの併映作品なのに、子ども達のことは考えていないようなしっかりした時代劇。それもそのはず、〝座頭市〟や〝眠狂四郎〟などのシリーズを手がけた監督の作品。怒りのボルテージがマックスになったら大魔神に変身するなら、叩き壊そうっていう暴挙も目をつぶってあげようって気になるほど。

そして、大魔神に覚醒。ここからは、これぞ元祖特撮時代劇って感じの見事な暴れ方。特撮映画の醍醐味は、いかに本物らしく見せて、本物らしく壊すかっていうところ。建物が壊れる時の屋根瓦の崩れ方は最高。一枚一枚がばらばらと落ちていくシーンは流石の職人技。待った甲斐があった納得の特撮シーン。やっぱ大魔神はかっこいい。鎖をひきずり、地響きをたてながら突き進んで、頭に刺さったままだった鏨(たがね)を、そこで使うのね。なるほど。物語は〝大魔神怒る〟に続く。
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