しろくま

三度目の殺人のしろくまのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.4
《あなた達は、とにかく減刑ありきだから》
〝そりゃ弁護士ですから〟〝あなたみたいな弁護士が、犯罪者が罪と向き合うのを邪魔するのよ〟〝罪と向き合うって?〟〝真実から目を背けないってことじゃないですか〟

立場が違えば考え方も違って当然で、真実を語らせ罪を認めさせたい篠原一葵検察官(市川実日子)の思いも分かるけど、弁護士って依頼人に有利な事実や証拠を集めて、少しでも刑が軽くなるようにするのがお仕事だから、勝ちにこだわる重盛朋章弁護士(福山雅治)のやっていることも分からないではないね。証拠の隠滅に協力したり嘘をついたりしたらもちろんダメだけど、依頼人の記憶違いや認識のずれっていうのはあるだろうから、社会正義と依頼者の利益とのバランスをどうとるのかっていうのが難しいところなんだろうね。

再犯を扱った展開は、〝沈黙のパレード〟と一緒だけど、完全黙秘を貫き、証拠不充分で無罪となり多額の賠償金まで手に入れた蓮沼寛一と対照的に、本作の三隅高司(役所広司)は、よく喋るけど供述が二転三転して…。それって自らの罪を逃れるための嘘なのか、誰かを陥れようとしているのか、それとも誰かをかばっているのか。

そしてタイトル通りに、同じ手口で〝三度目の殺人〟が起こり、真犯人が別にいるっていう展開を期待していたら…。あれっ?なんか違う結末。まさか〝三度目の殺人〟ってそういうこと?

いろんなところに十字が出てきたのにも意味があって、あのシーンの十字は…。カナリアが意味するものは…。あの1羽は…。器とは…みたいな解釈をして楽しむ映画だったのね。

視聴メモ:2024.04.07/041/図書館DVD
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