カルダモン

泳ぐひとのカルダモンのレビュー・感想・評価

泳ぐひと(1968年製作の映画)
4.4
タイトルとパッケージデザインだけではこの映画の恐ろしい内容は絶対に読めない。
太陽の降り注ぐ夏の日、筋骨隆々な海パン一丁の男が、友人宅で泳いでいたある時、自宅まで連なる高級住宅街のプールを片っ端から泳ぎ継いで家まで帰ると決断、自らを冒険者であると宣言する。次々に隣人の家へ海パン一丁で乗り込み、挨拶もそこそこにプールで泳ぎまくる。不躾な態度に加えて、これ見よがしの肉体と白い歯の笑顔が早々にして不気味。
まったく意味不明で不可解な状態から物語は始まるのだが、徐々に様子がおかしくなってくる。序盤はどの家も大歓迎なのだが、自宅に近づくにつれて露骨に拒絶され始める。やがて体は冷え始め、物語は反転、いつのまにか季節は秋になっている。
さて彼が辿り着いた先に待っているのは…

徐々に見え始める象徴としてのプールと裸。高級住宅街に住むブルジョワの顛末を寓話で語る発想。バートランカスターのチョイスが絶妙。