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スタア誕生のaiaiのレビュー・感想・評価

スタア誕生(1937年製作の映画)
3.2
スター誕生の強固な物語は永遠に語り継がれる
~リメイク味くらべ vol4 オリジナル ~

本作「スター誕生」って、1937年のオリジナル公開から実に80年以上経過しているのですが、その間リメイク作品が3つもあるという、とてもとても息の長い物語です。

オリジナル(1937年)←今回ここのレビューです
リメイク(1954年)
リメイク(1976年)
リメイク(2018年)

— あらすじ —
主人公のヴィッキーは、テキサスの田舎町から出てきた、映画スターを夢見る少女。

家族は反対するも、唯一の味方はおばあちゃん。
おばあちゃんから活を入れられ、おばあちゃんが自分の葬式費用に取っておいたんだというお金を軍資金としてもらって、いざ汽車で出発!

花の都ハリウッド!
で、一人暮らしを始めるが、案の定というか、最初は箸にも棒にもかからない。
その他大勢の一人でなんとかチャンスをつかみたいと映画関係者が集まるパーティーでバイトしていたところ、偶然、そこに来ていた有名な映画俳優ノーマンに見いださる。

スターと、無名の新人が、どういうわけか意気投合。
ヴィッキーはノーマンのツテでオーディションのチャンスを得て映画に出ることになる。
すこぶる世間の評判は良く、その後はあれよあれよとスターダムにのし上がる。

そして、ノーマンとのラブも成就し、ついには結婚!!

恋も仕事も順風満帆な人生になるかと思いきや。。。

不穏なムードは、ヴィッキーの人気に反比例するかのように旦那のノーマンが落ち目になっていくあたりから始まる。
ヴィッキーはノーマンを心から愛していて、献身的に支えようとする。
しかし、旦那のノーマンは根っからの酒好きで(いわゆるアルコール中毒)、仕事をすっぽかしたり奇行がひどくなり、業界から干されていく。。。

— 強固な物語 —

あらすじに書いた物語は非常に「強固」。
「強固」というのは、普遍的であり、汎用的であるというニュアンス。

普遍的というのは、ひらたくいえば、時代を越え、国を越え、
「誰にとってもわかりやすい夢と感動」
を与える物語。

夢を追うため、失うものが大き過ぎて、犠牲にしたことも多かった。
それでも夢を叶えたい主人公の人生における取捨選択、言動(往々にして取り返しのつかない)、人との一期一会、それらが観る側に感動をもたらせる。

汎用的というのは、スターというのは、俳優だけではなく、音楽やアーティストの芸術界、スポーツ界など、いろんな世界に存在するので、そういった世界の物語にアレンジして流用できる。
大なり小なり、この「スター誕生」の物語のベースラインを取り入れた物語は多い。

— リメイクとして語り継がれるもう一つの理由 —

そういう意味でリメイクが多いのもうなずけるが、別の理由もあると思っていて。
それは、賞レースと非常に相性が良いということ。
過去、オリジナルもリメイクも、4作品ともアカデミー賞(ゴールデングローブ賞とかも)のノミネートやら受賞やらしている。
「ラ・ラ・ランド」っていうミュージカル映画のレビューにもちらっと書いたが、アカデミー賞を選考するアカデミー会員って、映画業界人で構成される。
うがった見方になるかもだけど、ハリウッドを舞台にした物語は、ある意味、彼らの(アカデミー会員らの)物語でもあるわけで、つまり彼らの人生そのものともいえる。
おのずと評価が高くなるのは当然といえば、当然かなと
なので、次にリメイク作っても、おそらく何かしらのアカデミー賞を受賞することになるでしょう。

— 永遠に語り継がれる物語 —

今となっては、この映画みると、どこかでみた物語にみえますが、それはルーツの宿命みたいなもので、「スター誕生」の物語のDNAはここから始まるのですね~
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