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逆転のトライアングルのaiaiのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.2
「流されて」風味「LOST」風味でキラキラ多め。
なんちゃってサバイバルコメディ。

本作をみて、2作品を思い出した。

「流されて」イタリア発 無人島サバイバル映画

金持ちで気位の高い女が乗るヨットが事故に合い、助けがくるまで使用人の男と2人きり、無人島で生活するハメに。

使用人にはサバイバル能力があり、自ら海で魚を獲り、火をおこし、焼いて食う。

ブルジョア女にそんな力は無い。

陸での主従関係が逆転し、女は男の言いなり、無理やりからの男女の関係に。

征服欲をくすぐる背徳感のある展開は後続作品に影響を与えた(と思う)

「LOST」米国発 謎の島サバイバルドラマ

ある旅客機が海に墜落し、奇跡的に助かった人々が謎の島でサバイバル生活を余儀なくされる。

なぜ落ちたか?この島はいったい?とにかく謎だらけのミステリー感がたまらない名作。

しかし飛行機だけにダッチロールした後半シーズンが仇となり、駄作というレッテルも貼られてしまった。

評価の振り幅が広い、今だ語り継がれる大ヒットドラマ。

監督が上記2作品を観たことあるのかわからないが、多少なりとも影響を受けているのではと感じたしだい。

‐パート1はワークショップ?

本作はパート1、2とその数時間後の3部構成。

パート1では、モデルの卵みたいな若者らのオーディション風景から始まる。
ファッションショーへと移行し、切り替わるとレストラン。

テーブルはさんで、恋人同志と思われる男女が食事の料金支払についてもめる。

普通なら数回の会話で終わらせる程度の他愛のない話だが、これが延々と続く。

ほんと延々と続く。

なるほど、若い男のねっとりキャラはよくわかった。

よくわかったが、そこまでクドいと何かしらの伏線があるのかと期待するのが人の常。

しかし、パート2以降取り立ててパート1の回収はなかった印象(見落としかもしれないが)

確かにこの男女、後半も重要な役割を占めるので、パート1でしっかりと関係性を描くのは理解する。

だったらトイレ清掃婦も描いてやろうよ~😅

2人の男女はしつこいぐらいの尺で描くが、トイレ清掃婦のバックグラウンドは一切描かないという手の抜きよう。

これあくまで仮説なんだが、パート1は別の映画(モデルを舞台とした恋愛コメディとか)を撮ろうとしていた際のワークショップ(ないしはパイロット)だったんじゃなかろうか?

取ってつけたようなテイストがある。

無くてもいいし、入れるのだったら他のキャラも描くべき。

‐なんちゃってサバイバル

クルーズ船が嵐に遭遇し、船が大きく揺れる。

乗客らは気持ち悪くなり、あちらこちらにキラキラが。。。

このキラキラが延々と続く。

そして、

画面が延々と揺れ続ける。

普通、ここまで揺れ続けると、揺れる船から起因するなにか想定外の出来事があるのでは?と期待するが何も起こらない。

結局、揺れとか嵐とは全く関係の無い連中の強硬手段が入り、次パートへとあっさり移行。
しかも連中に対する説明が何にもない(見落としてなければ)

繰り返しになるがトイレ清掃婦しかり、他のキャラしかり、バックグラウンドが一切描かれて無いため、キャラ間の対立軸(価値観等の対立軸)が見えてこない。

なので、島でのサバイバルが盛り上がらない。

とても残念な点は、サバイバル挑戦権を得たキャラがなぜに挑戦権を得たのか説明がないこと。

船から島へ行けた人たちについて、それを偶然とかラッキーで片付けるのは映画的ではない。

船から島へ進むことができたキャラと、できなかったキャラの対比。
彼らのバックグラウンドを対比させることで、もしかしたらメタファーとして、そこにメッセージを入れ込めることもできたかもしれない。

マルクスがどうちゃらとか箴言なんかどうでもよくって、もっと映画的であって欲しかった。
(例えば船長も島に連れていき、ロシアの大富豪と再度議論させる。船内と島とでは2人の思想が逆転するといったシークエンスがあっても面白かった。共産と資本は対立するのではなく、実は表裏一体であり、環境に左右される。そういうメタファー的メッセージとか)

結末は観客に委ねますとボールを渡されたようにみえるものの、たぶん、監督飽きたんじゃなかろうか。そんなのどっちでもいいやと🥴

何かを見つけようと特定のシーケンスを延々と掘り続けても、結局目新しいものは見つからなかったですわ🥴という諦めにも似た、尻切れトンボが目立つ、サバイバル群像劇になりきれてないお話だった。
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