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タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密のaiaiのレビュー・感想・評価

3.8
逆に本作がインディーの元ネタ?無印っぽいけど、100%スピルバーグ印良品。本作含め、アニメ版全39話の冒険活劇、この夏の友にいかが?
~10年以上前にみた作品のなかから、自分の評価が高かった作品を改めて見直しましたvol3~

隠れっていうと語弊があるかもしれないが、映画公開当時、スピルバーグ監督作でありながら、日本では、ほぼほぼスルーされた隠れた名作という印象がある(自分のアンテナの低さかもしれないが)※

声の吹替も有名どころを起用していて、例えば、007のダニエル・クレイグ、ミッション・インポッシブルでおなじみのサイモン・ペッグなんかも参画しているが、このあたりもさして喧伝されていない。

スピルバーグの冒険活劇といえば、言わずもがなのインディーだが、本作はインディースピリットがまんべんなく作品全体に行き渡った、いわばアニメ版インディーといっても差し支えない出来ばえ。

古き謎の提示から宝物を探し、海へ、空へ、砂漠へとスピーディーな展開。
敵との追いつ追われつのデッドヒート。
インディー風味の音楽。

まさに、100%スピルバーグ印良品。

‐ タンタンの冒険とは

「タンタンの冒険」というのは、さかのぼること実に1930年代というめちゃくちゃ歴史があるベルギー原産の絵本漫画。

主人公”タンタン”はジャーナリスト(記者)で、彼の愛犬”スノーウィ”とともに、いろんな事件を解決したり、冒険の旅にでる。

少年向けではあるが、冒険活劇のエッセンスは豊富で、大人の鑑賞にも十分耐えられるレベル。

作者はエルジェというベルギーの作家であるが、その制作活動期から推察して、元祖にしてルーツ。

前述でアニメ版インディーといったが、実はインディージョーンズシリーズこそが、実写版タンタンの冒険と言えるかも。

‐ 映画版の元ネタはアニメ版

自分の知る範囲で、映画版のあらすじの元ネタについて語られている情報をみかけないので、ここでちょっと触れておきたい。

本作のストーリーラインは、アニメ版「タンタンの冒険」全39エピソードのうち、1~5話のエピソードを圧縮して作られている。

- 金のはさみのカニ(前・後編)
- なぞのユニコーン号(前・後編)
- レッドラッカムの宝
の5話。

映画だと、タンタンとハドック船長が船で出会ってから、一気にユニコーン号の謎に入っていくシークエンスにごちゃごちゃ感があるのだが、アニメ版は船長との出会い→ユニコーンの謎→宝さがしといったパートが明確に別れていて、映画よりもわかりやすい。

また、デュポンとデュボンという、双子のようなそっくりの刑事2人が出てくる。
彼らの髪型は、サザエさんの波平・海平兄弟を彷彿とさせる(アニメ版デュポンデュボンの日本語吹替が永井一郎(波平の声優)というのも作為を感じる笑)
この2人の刑事は映画版だとちょっと唐突でおまけ感が強いのだが、アニメ版ではその存在感がしっかり出ていて、なじんでいる。

アニメ版は全39話と多いが、1話が20分程度と手軽だし、6話以降もいろんな冒険が楽しめそう。

この夏、淡々と(笑)観ていくのもありかもしれない。

※スルーといっても、例えばあの大貫妙子の曲の一つにもなっているし、イラストレータージュジュタケシによる少年と犬のポスター画なんかにもオマージュを感じる。絵本の評価も軒並み高評価で、国内では今や巨匠と呼ばれる宮崎駿など多くのクリエーターに影響を与えているはず。
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