みちろう

八つ墓村のみちろうのレビュー・感想・評価

八つ墓村(1977年製作の映画)
4.5
松竹 無料配信

初めての金田一耕助シリーズ、複雑な要素が絡み合う物語は多分原作で詳細に記されてることをなんとか一本の映画で納めようとしてるからか余裕のなさがあってストーリー単体で言うとそこまでな印象。流れも典型的なサスペンスなので特に衝撃とかも無さげ。

それでも50年近く前の作品なのに今見ても作り込みがすごい。なんといっても雰囲気が凄まじくて一気に引き込まれる。

村人に裏切られて惨殺された落武者、以降彼らの祟りを想起させる8人殺しと32人殺しの惨劇…。いわく付きの村に都会から急に連れてこられ半ば囚われてしまっている主人公辰弥の目線で次々と起こる殺人事件を目の当たりにし深まる謎にそそられる、まさにサスペンスの醍醐味をしっかり味わえるような作り。

噂の32人殺しのシーンは時代を感じるチープさが勝って意外とそんな怖さは無く、何なら最初に映る桜を背に迫ってくる場面が絵的に良くて不覚にも見惚れてしまった。むしろ終盤に真っ暗な鍾乳洞の中を幽霊みたいに豹変した犯人に追いかけられる所が予想外に怖すぎてビビる。その他落武者たちが派手に殺される箇所も含めホラー映画さながらにおぞましく誇張されたこれらのシーンはインパクトありつつ恐怖の中に悲しみや怒りの感情を含んでいるのも深みがあった。こういうちょいやり過ぎに描くスタイル…めちゃ良い。

全体的に映像としてのクオリティを意識したような作りが素晴らしいな〜と見てて思う。日本の映画でしか味わえないような良さをまた一つ見つけて予想外にハマった映画。

金田一耕助が主役と思ったら淡々と事件解決に向けた調査しかしない脇役なのが意外。渥美清の安心感やばい。

頼れるヒーローぽいけど戦ったりはしない金田一/壮大な音楽/メイクの下から若さ丸見えで老婆姉妹が全然年寄りに見えない/ 八つ墓明神の祟り/
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