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銀河ヒッチハイク・ガイドのohassyのレビュー・感想・評価

銀河ヒッチハイク・ガイド(2005年製作の映画)
3.5
10年、いやもしかしたら20年越しの積ん読をようやく消化し、なぜもっと早く読まなかったんだと大後悔している。
面白い面白いとあらゆるところであらゆる人から聞いていた原作は、やっぱり本当に面白かった。
ユニーク極まりない世界観とキャラクターに心を奪われ、こんなものを映画化なんかして大丈夫だったんだろうか?ひどいことになっているのでは?と、観る前からすごく心配をした。

原作はいわゆるSFコメディというジャンルにカテゴライズされると思うが、ナンセンスなのにシリアスで、混沌としているのに緻密で、荒唐無稽なのに科学的で、ツッコミどころだらけなのに非の打ち所のない小説なのだ。
見慣れない固有名詞や解釈、キャラクターが次々と登場するから、読者それぞれの頭に異なるイメージが出来上がっているはずで、そんなものは映像化不可能だしやけどするだけである。
やめたほうがいい。

本作は壮大な物語をコンパクトに纏めつつ、分かりやすい筋書きにラブロマンスを加えることで、一定の形を保つように作られていて、観る前に感じていた不安は杞憂ではあった。
安っぽいけれどそれなりにお金もかかっているようだし、全体的にはコメディだけど演者たちはいたって真面目なのもいい。
原作にはないバカバカしい仕掛けのシーンも笑ってしまった。
無秩序性なんとか航法によるワープの表現も秀逸だ。
何よりやさしくとぼけた感じの屋良ナレーションがすべてを「いい感じ」にまとめあげる。
本当の意味で良い声優というのは、その人がひと言発するだけで作品の軸が決まる人のことだ。
しかし、聞いたこともなく何の略略もない言葉の羅列は難しかったろうなあ。

読み終えてすっかりロスになってしまい続編に取り掛かったのだけれど、映画でも彼らに出会えたのはとても嬉しかった。
映画よりまずは原作を是非。
生命、宇宙、その他もろもろの答えが、ここにある。かも。
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