のら

僕の初恋をキミに捧ぐののらのレビュー・感想・評価

僕の初恋をキミに捧ぐ(2009年製作の映画)
2.5
幼い時から心臓病を患っている岡田将生演じる主人公と、井上真央演じる幼なじみの恋人の話。正直な所女子中学生向けポルノみたいな内容ではあるが、死ぬことが分かっている主人公の達観というか虚無感のような物と岡田将生の演技が非常に上手く噛み合っている。

ストーリーの部分も序盤は単純な学園恋愛ものと思わせておいて、中盤は主人公の生きる動機に焦点を当て臓器移植に関する話に上手くスライドさせている。

しかし臓器移植の件は唐突すぎで、ドラマとしては成立しているが、友達がいきなり交通事故に遭い、その臓器を提供されるという展開だけでも盛りすぎな上に、それがあっさりバレるのはドラマ上仕方ないことだが、展開として白けてしまう。また細かい部分では、金属製のバックルつけた状態で除細動器使うなど、病気を扱っている映画としてどうかと思う描写もあったりする。

しかし本作を一番台無しにしてるのはラストの展開に尽きる。ウェディングドレスを着た井上真央が主人公の骨壷を抱きしめ、恐ろしいまでに陳腐な独白をする。これが本当に最悪で「また私はあなたに恋をする」としょうもないセリフ言わせてしまう。

主人公のキャラクターと岡田将生の佇まいの相性が非常に良いし、もちろん女子中学生向けなので浅いと言われればそうかもしれないが、それでも臓器提供を受ける側の葛藤を描いているのも良い。しかしとにかくラストの展開がすべてを台無しにしているのは、本当に残念に思う。
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