カテリーナ

シンドラーのリストのカテリーナのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.9
スピルバーグの綺麗事では無い
ホロコーストの現実を描いた傑作
流石スピルバーグと唸るしかない
ユダヤ人虐殺からおよそ1000人の
命を救った
オスカー・シンドラーという人物の描写が丁寧で無理がなくどんどん引き込まれた
死後も名前を残す偉人でもそもそもはビジネス、金儲けが入り口だった 人物表現が如何にもいい人として描いてない所が必然的で良い 本人はあくまでビジネスとして
ユダヤ人を雇っているだけだが
ユダヤ人にとっては地獄から救ってくれる聖人のように映るのだ
それを素直に言葉にしてシンドラーに感謝を伝えに来る老人は
片腕が無い それを身体障害者と咎めナチにより射殺されるシーンは
シンドラーの知る所では無かったが、観客の目に焼き付けられる
このすれ違い
その後数々の地獄としか言いようの無い現実を彼自身の目によって導かれた選択だった

『シンドラーのリスト』における
モノクロ映像はナチが行き交う混沌の中大人からはぐれた少女の汚れたコートだけを赤い色で浮かび上がらせ効果を上げる同時にシンドラーの視線の先をも示している
『シンシティ』でもモノクロ映像の中の赤や青が印象的だった
実に贅沢な手法である

ベン・キングスレーの生気のない顔も秀逸。
例えシンドラーの元で働いている立場であっても片時も死の鎖から
逃れられない恐怖を体現して
素晴らしかった
それは、命の証明書を持っているはずなのに取り出せない射殺の恐怖に身体が萎縮する演技に象徴されていた。

勿論シンドラーを体現した
リーアム・ニーソンの最後の演説も魂を揺さぶられる

ホロコーストものは敬遠してたけど虐殺のシーンは比較的ソフトで助かったがそれでも胸が潰れそうになる場面もいくつかあるが
その先に未来に希望の光を見出したユダヤ人の子孫の映像が見られるのだ
正にシンドラーの墓標にひとつ
ずつ石を乗せて行くひとりひとりが希望そのものに私には映った

ひとりでも多くの方に見てもらいたい作品。
カテリーナ

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