カテリーナ

落下の解剖学のカテリーナのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

表と裏の顔

雪山の山荘に暮らす3人家族の
父親が家の前で倒れているのを
発見するのは11歳の息子ダニエル
父親は3階からの転落による事故死だと思われていたが 幾つかの不審な点から
母親に夫殺しの嫌疑がかかる
母親は無罪を主張 検察側との
裁判に持ち込まれる

ダニエルは数年前目の神経を損傷する事故にあっていてかなり目に近づけないと見えないほどの弱視の状態
そんなダニエルの行動を助ける盲導犬(?)のスヌープが良い
ダニエルがどうしたいのかを考えて導いてくれる
この可愛いくて賢いワンちゃんと
痛々しい息子ダニエルが終盤 非常に重要な役目を果たす事になるとは思ってもいなかった

白眉は法廷で流される
夫婦喧嘩のテープ
サンドラが徐々に感情が抑えきれなくなり激昂し声を荒げ
それまで常に平常心で冷静な顔は消え去り一方的に夫をねじ伏せる感情的な面を見せる

今まで似た様なシチュエーションで山ほど演じられてきた夫婦喧嘩の修羅場
今作の迫力は群を抜く

サンドラに肩入れして見てたわけではないが 自分に不利になるから敢えて伏せていた出来事を露わにされ
検察側に鬼の首を取ったかの様に
追求され 焦るサンドラを見て
傍聴席の一人一人の目が爛々と輝き出す
日本の法廷劇では傍聴席の死んだ様な面々
に比べて一人一人の顔に命が宿ってると言うか 台詞もなく座って見守るだけなのに
誰一人として力を抜いてなくて
全力投球してるように見えた
後半の検察側の証言でいたたまれなくなるのもこの悪意ある傍聴人のせいだ
予告編で目にした
『息も出来ない』というフレーズを思い出し 同じ様に息が詰まり
これは『レヴェナント』でデカプリオが熊に襲われる時と同じ嫌、それ以上辛かった気がする。




以下は私の勝手な見解
①サンドラの強かで聡明なところに好意を寄せる昔馴染みの弁護士と
酒を飲みながらいい雰囲気になり
ふたりが一線を越えるかと見せかけ
弁護士が肩透かしを喰らうところ →
(無罪を勝ち取ったら何かを得られると思ったけど前と何も変わらないとサンドラは
独り言のように言うが実は弁護士に向けて
吐露した言葉じゃないのか?  つまりその気はないわよと、)

②息子が法廷で父親が生前息子に残した言葉を証人として証言するところ→
(真相は本人にしかわからないが父親か母親のどちらが真実なのかを息子の立場として心を決めなければいけないと
言及され母親を取ると決めたことで
嘘の証言によって母親を無罪に導く その理由は父親の話している映像に合わせて
息子の声で語られるから)
カテリーナ

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