カテリーナ

遠い夜明けのカテリーナのレビュー・感想・評価

遠い夜明け(1987年製作の映画)
4.0
繰り返される暗黒の歴史

アパルトヘイトに対して自由な理想社会を訴える 黒人運動家
スティーブ・ビコ
南アフリカと聞くと
真っ先に南アフリカ共和国のマンデラ大統領が思い出されるが
まだ私の知らない人物が
黒人の人権を確立する為に
命を落としていた事に驚愕
少なからずマンデラにも
影響を与えたと本編の中で
言及されていた
信念を貫く為に命を落としても
また別の人物に
思想のバトンを渡す瞬間を
映画の中でしばしば目撃できることに感謝しかない

後半ではスティーブ・ビコの
思想に共感した白人の新聞の編集長
ドナルド・ウッズ
が彼の自伝を描き 彼の死後
出版するまでの話しになっている

スティーブ・ビコがケープタウンに向かう車を止められ何の咎もないまま逮捕され監禁、食事も与えず
只管拷問を繰り返した為命を落とした内容を含む原稿は警察や白人至上主義者にとって黒人の起爆剤となり得るそんな
原稿を世に出してはならないと
ドナルド・ウッズに対しての弾圧
家族への嫌がらせが続く中
あらゆる妨害をかい潜りどうやって出版に漕ぎ着けたのか
時にコミカルにサスペンフルに描いて見応えたっぷりであった
しかし、
危険を回避する為に2名は偽名だが
その事を除いてこの映画は全て事実に基づくというテロップが
エンディングを迎えた私の心を震わせた 
この作品で冒頭に描かれる
1975年公衆衛生とラジオで流した
ケープ州クロスロード黒人居留地を襲った武装警菅
1976年6月16日の
ソウェト蜂起
そもそも学校でアフリカーンス語の学習を強制されることに抗議するため、何千というアフリカ系学生がデモ行進のために集まった(Wikipedia)
ドナルド・ウッズが国境を越えて
空から回想する場面で流れる
この悲惨な子供たちの警察による
大虐殺

アメリカ建国後の歴史の中で
繰り返されるこの場面に辟易しながらもこの映画のタイトル通り
彼らにとっての真の夜明けは
遠いままだ。
カテリーナ

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