ろ

ラストムービーのろのレビュー・感想・評価

ラストムービー(1971年製作の映画)
5.0

頬が切れそうになるほど、鋭い寒さだった今日。
風が吹きつける交差点で信号を待ちながら、いま観たばかりの映画のことを考えていました。
こんなに1ミリも分からない映画を観たのはいつぶりだろう。

西部劇を撮影している。
仲間を助けに来た男たちが次々撃たれる。
屋根の上にいた男も、男に駆け寄った娘も撃たれ、「兄弟の仇!」と叫んだ二丁拳銃も次の瞬間バッタリ倒れる。

撮影が終わってもペルーで暮らし続けるスタントマンのカンザス。
友人の持つ鉱山で金を掘り当てようとする。
しかし、二人は金の見分け方が分からない。
本当ははじめから、金なんて欲しくなかったんだ。となだめるように言う。

「ビリー・ザ・キッド」のセットが残る村ではまだ‘撮影’が続いていた。
細い木で編んだカメラにマイク。
アルミ箔のレフ板に、村人たちが火をかざして光を反射させる。
喧嘩も本物、死人も本物。
怪しげな祭りのように、夜通しリアルが追求される。

「おまえがラストムービーの主役、死人だ。」
撃たれたはずの傷口が消えた。
村人は祭りに興じ、肉を切り分けハリボテの教会の扉を燃やす。
カンザスは何度も地面に倒れ、しばらく動かず、やがてゆっくりと立ち上がりカメラに向かってベーっと舌を突き出す。
ここで終わると思っても映画は終わらない。
‘フィルムの紛失’を経て、血が飛び散ったような白い文字で画面いっぱいに‘END!’

この映画は私を突き放した。
おまえなんかに分かってたまるか、と子どもたちの影は言っているみたいだった。
それでもなんだか清々しくて、それがおかしくて笑っちゃったよ。

「告解します、私は罪を犯しました。」
「どんな罪ですか。」
「映画、です。」



( ..)φ

観ている間よりも観た直後よりも、しばらく熟成させた方が面白くなる。映画あるある。
なんかね、こないだのギリアムさんの映画やTommyやまぼろしの市街戦を思い出しました。バカなふりして滑稽を装いながら、核心をつく感じ。

菜の花畑を歩いているときのフォークソング、間の抜けた脱力メロディなのに歌詞がズンとくる。でもなんかあのシーンだけ「小さな恋のメロディ」みたいで、可笑しくて笑っちゃった。
自由ってやっぱりいいな。