ろ

私ときどきレッサーパンダのろのレビュー・感想・評価

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)
5.0

「レッサーパンダでもそうじゃなくても、メイのことが大好きだよ」

勉強も家の手伝いも完璧にこなし、本当は大好きなアイドルグループも母が下品だと言えば興味のないふりをする。
絶対に見られたくなくてベッドの下に隠していたらくがき帳は母のせいで学校中に広まり、さらに「生理用のナプキン忘れてるわよ!」と教室に乱入する母にとどめを刺され、メイは巨大なレッサーパンダに変身してしまう・・・

「そんな姿、外に見せられないわ」とママは嘆く。
早く元に戻りたいのにと大暴れするメイの部屋はひっかき傷でいっぱいに。
物を壊すからと家具のない部屋に移されたメイは独り毛布にくるまる。
そんなメイを見かねた友人たちは、メイをライブに誘う。
チケット代を稼ごうとはじめたレッサーパンダの撮影会。
メイのもふもふな体はまたたくまに人気を集め、メイは少しずつ自分らしさを取り戻していく。

親の言いつけを守りすぎるメイより、いまのほうが輝いてるよと抱きしめてくれる友だち。彼女たちのことを思い浮かべれば自分の中のパンダともうまく付き合える。
けれどのびのびすればするほど、ママに嘘をつきながらチケット代を貯める罪悪感も、ちゃんと言いつけを守らなきゃ、いい子でいなきゃと自分を責める気持ちも募るばかり。
そんなメイを「誰にでもいろんな一面があるだろう?パンダ姿で踊ったり、ポップコーンを食べたり。お父さんはメイのこの一面、好きだけどな」とお父さんは励ましてくれる。

「私はダンスするのが好きなのー!大音量で音楽を流すのも、男の子のことだって大好きなのー!」
怒りはメイの本音なのに、それをみっともないから恥ずかしいからと押さえつけると”怒る自分”はますます反発した。
私からパンダを切り離すことなんてできない。だって私の一部なんだもん。
パンダでもパンダじゃなくても私は私なの。
メイは”本当の自分”に一歩近づく。

さらさらと揺れる青銅の風鈴。
澄んだ池を泳ぐ錦の鯉。
お経とヒップホップの融合に、お焚き上げられていく赤いパンダたち。
こんなんエブリシングエブリウェアオールアットワンスやん。ひたすら涙が止まらなかった。



( ..)φ

そのままでいい、いまのままでいいとまるごと受け止めてくれたメイの友だち。
私がうつになったとき同じことを言ってくれた友だちがいて、重ねて観ずにはいられなかった。
涙でスクリーン滲みまくりでした。

もうええてと言いたくなるほど流してくれるインサイドヘッド2の予告編に続いて流れるピートさんのインタビュー映像(むちゃくちゃ泣いた)、そして同時上映の短編アニメーション「猫とピットブル」に散々泣き散らかし、もうこれだからピクサーは・・・!と愛おしさでいっぱいになる。フードコートでてりたまを頬張った雨の日曜日。
ろ