ラストムービーの作品情報・感想・評価

「ラストムービー」に投稿された感想・評価

K2

K2の感想・評価

4.7
ペルーで撮影する西部劇のスタントマンがクルー達の乱痴気騒ぎに嫌気がさし、自らも酒とドラッグに溺れる様を描いた作品。まさに『イージーライダー』撮影後の当時のデニスホッパーそのもの。

本当に開始26分も経ってタイトルクレジットがバーン!って出てきてたまげた。

地元宗教に狂うように本当の殴り合いや実弾を使って映画撮影の真似事をする住人やアメリカ人女からの侮辱、時折突然挟まる"scene missing"の画面などカオス極まりないが、擦り切れたデニスホッパーが身の上をぶつけた作品であることは間違いなさそう。

ジャケットがそこはかとなくダサくて舐めてかかったらとんでもない作品だったもう一回観たい。
イージーライダー同様、監督デニス・ホッパーの凄さを思い知らされる怪作

映画の映画的側面のあるこの作品だが、冒頭からサミュエル・フラーの仕切る撮影現場の様子が混沌とした様相を呈していてこの時点でヤバさが如実に伝わってくるが、その劇中映画の銃撃戦はワイルドバンチ以上のクオリティがあって普通に西部劇作っても力作になっていたろうにあえてそうしないところにロックを感じ、それでいてデニス・ホッパーの漂わせる孤独な哀愁がしっかり伝わる描写をしている点に監督として俳優として地力が見え、と思いつつ見ていたら20分経ってようやくタイトル出たことにもおったまげ、こいつは凄いと驚嘆した

そこから終盤までは、ペルーという地やそこに住む人間を侵食する文明の毒というテーマを感じさせつつ、猥雑ながら少し大人しめな展開になったもののと相変わらずネジが飛んでる描写の連続に流石だと思っていたら、そこからラスト30分前でまた冒頭のような頭おかしい展開に戻って唖然としたけど、その点にも普通のドラマを撮ろうとしたら結局カオスへと立ち戻る性みたいなものが見えて色んな意味で常軌を逸していた

といった具合に、編集の遊びを要所要所で取り入れていたこともありゴダールやフェリーニ、グラウベル・ローシャばりの滅茶苦茶さがある訳わかんない作品で実に素晴らしかったのだけど、特に気に入ったのは映画の真似事をして暴徒と化す住民の一連のシーンで、カメラがないから結局過激だけど無意味なごっこ遊びにしかなっていないのにそれを外側からちゃんと撮っているため実際映画になっている点にメタ的な意味が感じ取れて、作品に深遠さが生まれていたように思えた

しかしデニス・ホッパーの監督作品はイージーライダーを除いて不当な低評価を下されたものばかりで、彼の生み出す暴力的作品の数々は今こそ正当に評価されるべきだ
なにこのかっこいいラスト!
こんなに美しくて破壊的な映画を撮っちゃうホッパー。バーから抜け出して少し泣くホッパーと一緒に泣いてしまう。10代のころからずっと大好きだけど、まだまだ好きだなーデニスホッパー。
最後の映画にする為に、映画を破壊する為に、デニス・ホッパーが毎日膨大な撮影フィルムをアルコール、マリファナ、LSDをキメながら編集した映画が『ラストムービー』だ。断絶、天国の門、アギーレなどと共に語られるべき大傑作。
ロラン

ロランの感想・評価

4.0
傑作。グラウベル・ローシャのような無軌道性があり、メタ的構造で映画を破壊しながら、自ら「最後の映画」を撮ろうとするメンタリティーはゴダールに匹敵する。しかし、西部劇的な風景や乾いた銃撃戦はやはりアメリカ映画だと思わされる。劇中で撮影現場を監督するサミュエル・フラーの存在感。

金と女を巡る中盤の乱痴気騒ぎはいかにも70年代的だけど、フラーの映画撮影に影響を受けた現地人による擬似的な映画撮影が始まる場面の祝祭性は凄まじい。カメラも照明も全て竹で自作しているのに、銃だけは本物という…。その銃にホッパーが撃たれた後の走馬灯のようなモンタージュもやはりローシャ的で圧倒される。

荒唐無稽なシークエンスの間に挿入される、馬に乗ったホッパーが草原を駆ける場面の美しさ。賑やかなバーを独り抜けたホッパーが真っ暗な背景で一瞬だけ見せる涙にはこちらも泣いてしまう。ラストの倒れ込んでは再び起き上がる姿にも無条件の感動がある。デニス・ホッパーはやはり破滅型の天才。
のどかな風景がたまに映るんだけど、どこかドラッギーに見える。
とんでもない傑作! 
スタントマンのホッパーがペルーの田舎の村で撮影された西部劇に参加。映画クルーが去ったあと、映画の撮影な影響を受けた村人が暴徒化する(笑)
グラウベル・ローシャのようなロケ地に、神代辰巳のような編集が炸裂!

映画内映画である西部劇の銃撃戦が洒落にならんくらい凄い。(因みに映画内映画の監督はサミュエル・フラー!!)
滝のとこでヤってると子供の行列が通過したり、ラストの「金をどうやって見分けるんだ」の掛け合いだったり結構笑えるシーンが多かった。
コズモ

コズモの感想・評価

3.5
粗すぎなメタ。粗すぎなとこが逆に映画の強度になってる。後半のイメージの横溢は凄い。