『あん』『光』の河瀨直美監督作品
生と死をテーマに、最愛の家族を失った認知症の男性と介護士の女性の交流を、喪が明けるまでの姿を通し描き出す
カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞という偉業を成し遂げた作品
凡人には絶対に撮れない作品ということがはっきりとわかるほど、並外れた芸術の力を感じられる
もちろん単純に映画としておもしろいかは別として
哲学にも思える難解な映画を立て続けに撮り続けた初期の河瀨直美作品は、正直どう感じればいいのか、どう捉えればいいのかが難しい…
冒頭から30分程度は静謐で美しい田舎の情景で『萌の朱雀』に近い雰囲気だったが、中身は別物
2/3は尾野真千子とうだしげき二人だけで森を彷徨い続ける映画なんですが、いかんせん代わり映えしない風景や少ないセリフ
神秘的な森の中で淡々としながらも癒される不思議な映像のパワーがあるので、個人的には退屈しないで最後まで観ることが出来ました
監督自身の故郷である奈良を舞台にしているのもよかったのかも
尾野真千子の繊細で体当たりな演技も素晴らしかった
初期の河瀨直美監督は、こういったテイストのあえてわかりづらい、説明的でなく極めて映画的に、自身の映像の力を信じて作っているようですね
カンヌで受けるのも納得です
エンタメ性は皆無で芸術作品に近いので人を選ぶ映画です
おすすめはできませんが監督のファンであれば必見の一本でしょう
2020 自宅鑑賞 No.379 GEO