再鑑賞。
女性FBI訓練生と、元精神科医の囚人との奇妙な交流を描く。
女性を殺害して皮を剥ぐバッファロー・ビルと、殺害した人の臓器や肉を食べるハンニバル・レクター。2人のモデルとなったアメリカ犯罪史上最悪の殺人鬼を調べてみると、残忍で常識を逸した犯行にゾッとした。
ジョディ・フォスター扮するクラリスは、圧倒的に男性が多い職場で血の滲むような努力を積み重ねた女性。そんな彼女が連続殺人事件の手がかりを掴むため猟奇殺人犯と対峙する。
その男は挙動不審な動きも威嚇もない。
落ち着いた様子、静かな声、心を見透かすような目が不気味で、ざわざわと不快感が胸に纏わり付いた。
異常者を捕まえるために異常者の助言を受けるクラリス。蛇の道は蛇って事でヘビーな任務。しかし、ただでは教えてくれない。彼女自身の事を話すのが交換条件で、元精神科医として、彼女の心の闇に執着するレクター。
夜明けに聞いた仔羊たちの悲鳴…それが彼女のトラウマであり、連続殺人事件と重なる。タイトルの羊は事件の被害者、沈黙は事件解決を表しているようだ。
移送されるレクターは拘束衣とマスクという姿だが、そんな状態でも襲いかかるような凶暴性を感じる。
犯人は蛾の繭で変身願望を表し、レクターは警備員を蝶にする。血が滴り落ちるエレベーターと救急車のカットバックは最高の演出でゾクゾクした。
アンソニー・ホプキンスの強烈な怪演によって、残忍なバッファロー・ビルが少々霞んでしまった。