マヒロ

メリー・ポピンズのマヒロのレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
3.5
お堅い銀行マンの父と、女性の選挙権運動に夢中な母は、忙しい自分たちに変わってやんちゃな息子と娘を乳母に預けていたが、聞かん坊な二人に愛想を尽かして次々と辞めていってしまう。今度こそはとスパルタな乳母を募集したところ、現れたのは空飛ぶスーパーカリフラなんちゃらな乳母・メリーポピンズだった…というお話。

メリーポピンズというキャラクターにまず驚いたのが、楽しげな雰囲気に反して常に冷めた感じの態度を取っているところで、あからさまに魔法を使っているのにすっとぼけて素知らぬふりだったり、子供達(眉毛が無くてちょっと顔が怖い)が懐いていてもあんまり歩み寄る様子がない。最後の別れのシーンを見るに、いつか別れなければならないことを分かっていて辛くならないように敢えて冷たくしていたのかな…という感じがするけど、あえて陽気なお姉さんにしないちょっとしたヒネクレ精神がイギリスっぽいなと思った。

最初の歌で「砂糖ひとさじで苦い薬も飲める」と歌うように、やや心が離れ気味な一家の元にメリー・ポピンズという存在が現れることでちょっとだけ幸せになる…という、大げさなハッピーエンドではないささやかな感じが良かった。
堅物のお父さんが職場でやらかしてどんどん追い詰められて辛い、というところでいよいよもってはっちゃけるシーンはなかなか痛快だし、劇中で一番救われたのは恐らく彼なので、実は第二の主人公はメインの子供達ではなくお父さんなのではという気もする。
一方でお母さんは割と影が薄めだけど、会社の歯車になり胃をキリキリさせているお父さんとは違い、世の女性のために選挙権を勝ち取ろうと自立して活き活きと活動している辺り、二人はハッキリと対比されているので、あえてお砂糖を入れなくても大丈夫な存在として描かれてたのかな。

(2019.17)
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