マヒロ

X-MEN:ファイナル ディシジョンのマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
(2024.33)
“ミュータントの能力を消すミュータント”の出現により、その能力を活かし能力を奪う薬“キュア”が開発される。マグニートー率いる過激派は、人間によるミュータント迫害の危機として人間達に宣戦布告をする……というお話。

『X-MEN』旧三部作の最終作。一応再見だったが、まとめて見てみるとスターウォーズのプリクエル三部作みたいな行き当たりばったり感が強いなと思った。サイクロップスやミスティークという魅力的な能力者達を何のドラマもなく急に使い捨てにしたり、能力が便利すぎるからなのかプロフェッサーXが毎回早々に無力化されて何の活躍もみせなかったりと、原作の設定を持て余した結果うまみを活かせないままになっているところが多くて勿体無い。前作であれほど活躍したナイトクロウラーが、何の説明もなく影も形もなくなっていたのも大人の事情を感じてしまう。
物語の始まりを担い、1〜2ではメインキャラだったローグが完全に脇役になってしまうのも寂しいところ。作中一番グッと来たのは、自身の能力を嫌い“キュア”を投与するか悩む彼女に対してウルヴァリンが「俺はお前の親じゃなくて友達だから止めない」と言って後押ししてあげるシーンで、この二人の歳の離れた友人関係みたいなものをもっと見てみたかった。

ミュータントを病気として治療しようとする有力者の男とミュータントになったその息子、人間に戦争を仕掛けようとするマグニートー一派、能力の暴走から“フェニックス”という隠されたもう一つの人格が現れてしまったジーン・グレイの脅威など様々な要素が絡み合ってくるが、それがどれもこれと言った盛り上がりを見せないままフワッとした着地を見せるのも物足りない。昨今のアメコミ超大作は2時間半とか平気であってなげーなと思うことが多いんだけど、今作は100分くらいしかなく、良心的ではあるが描くべきところに全く手が届いておらず、短すぎるのも考えものだなと思わされた。

一作目の終わり方からして続きものにする構想はあったと思うんだけど、その割に物語に軸がなくフラフラしたまま終わってしまった。X-MENの敵がマグニートーなのか人間なのかが最後までハッキリしなかったので、そこだけでも固めてくれた方が良かったなと思った。
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