噛む力がまるでない

ドラゴンボール 摩訶不思議大冒険の噛む力がまるでないのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

 鳥山明原作の『ドラゴンボール』劇場用アニメーションの第3弾である。

 原作やTVアニメーションシリーズとはパラレルに作られた作品で、一部の設定が大幅に変更されているのが特徴だ。TVシリーズの総集編ではなく、キャラクターたちを違う世界線で見せるというのはなかなか面白い試みで、短い時間ながら工夫もあって飽きさせない。

 原作でいうところの孫悟空(声:野沢雅子)とレッドリボン軍との戦いをベースにしており、原作を知っていればどういった改変がされているかも注目だが、ところどころでかなりの無茶が見られる。たとえば悟空が桃白白(声:大塚周夫)に吹っ飛ばされてカリン(声:永井一郎)のもとにたどり着くというのは、さすがに苦しい。苦労してたどり着くカリン塔本来の設定が台無しなのだが、しかしながら当時のドラゴンボールの世界観では大いにアリだと思うし、この展開にはすごく笑ってしまった。
 そしてこの映画は鳥山明のクロスオーバー作品でもあり、『Dr.スランプ』から則巻アラレ(声:小山茉美)が登場する。正直、ギャグをまとっているアラレは誰よりも強いジョーカーみたいなキャラクターで、悟空と桃白白の戦いに立ち会わせるには扱いが難しいと思われるのだが、迷惑な観客くらいに留めてなんとか介入を阻止している。桃白白がご丁寧にロケット弾を2発撃つことで悟空との共闘があったりして、楽しい場面である。