こたつむり

リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.4
♪ 大人のフリして あきらめちゃ
  奇跡の謎など 解けないよ

昔からミステリが大好きでした。
江戸川乱歩先生で言えば『少年探偵団』や『蜘蛛男』。モーリス・ルブランで言えば『奇岩城』や『813』。図書館に寄ればミステリの棚へ直行する子供だったのです。

でも、好きになったきっかけは憶えていません。テレビの“土曜ワイド劇場”は放映日から遡ることが出来ますが(小学二年生の冬に『天国と地獄の美女』を観たのは確実)読書は無理ですからね。何が“オリジン”なのかなあ。

…なんて自分語りから始めたのは。
「三つ子の魂百まで」と言いたかったから。つまり、幼少の頃にミステリに触れるとミステリ好きに育つ…と言いたかったのです。

そして、我が子をミステリ好きにしたいと思ったら、本作なんてどうでしょうか。

「赤ずきんちゃんを食べようとしたオオカミは本当に悪なのか?」という観点から始まり、やがては森を騒がせるレシピ泥棒事件へと繋がる物語。“複数の証言”から事実を浮き彫りにする構造なので、ミステリ入門編にはちょうど良いのです。

まあ、そんなわけで。
誰もが知る童話をミステリ風味で仕上げた作品。主人公の声を充てたのはアン・ハサウェイ(日本語版だと上野樹里さん)なんて話題性もありますからね。親子で観るにはピッタリです。






…なんて感想は表向き。
真実はいつだって最後に語られるのです。じゃじゃーん。

まず、絵柄が微妙でした。
動物たちはまだしも、主人公の赤ずきんが“ぶっちゃけ”可愛くないのです(というか、むしろギョロっとした目が怖い)。美女の声の無駄遣い…とか書くと怒られるかな…。

あと、何よりも致命的なのは論理的ではないこと。折角、複数の証言で物語を構成しているのだから「×××は●●●の証言と矛盾している!」くらいの展開は欲しかったですね。印象論で犯人捜ししたら…ダメでしょ。

まあ、そんなわけで。
大人が嗜むミステリとしては物足りない作品。やはり、子供をミステリ漬けにする第一歩…が有効活用だと思います。
こたつむり

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